無料会員募集中
.政治  投稿日:2023/12/24

「高岡発ニッポン再興」 その121 新校舎の基本設計、7人だけに説明


出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・高陵小中学校新校舎、9月の実施設計完了を地元議員の私は知らなかった。

・基本設計は学校関係者らわずか7人を相手に説明しただけ。

・学校建設では多くの自治体は対話を重視している。

 

私は高岡市議会12月定例会では、令和8年度完成予定の高陵小中学校の校舎についても質問しました。前回お伝えした旧平米小学校が閉校になったのは、旧定塚小学校と統合されたからです。新たに高陵小学校ができたのです。さらに、令和8年度には、新たに高陵小中学校となり、小中一貫校ができます。現在の高陵中学校の敷地に、高陵小学校が移るのです。

新校舎が造られるのですが、私は、11月の決算特別委員会で実施設計が9月末に完了していることを知り、驚きました。建築物は、基本設計が終わって、その後、実施設計が行われますが、実施設計は最終段階なのです。それなのに、地元議員の私は知りません。

私はそこで12月13日の定例会で教育長に本体工事はいつ行われるのか、質問しました。

こんな答弁が返ってきました。「本年度中に工事契約を締結し、来年度早々には工事に着手していきたいと考えている」。

本体工事が4月以降に行われるのです。全く知らない情報でした。

私はさらに教育長に質問しました。「実施設計をつくるにあたり、さまざまな立場の方を対象に幅広く住民説明会を開いたのでしょうか」。

こんな答弁が返ってきました。

「小中一貫校の基本設計は、実際に学校運営を行っている学校関係者に何度も意見を聞き、それを取り入れながらまとめたものである。その基本設計の内容や今後の工事スケジュールについては、昨年9月20日に説明会を開催し、連合自治会、同窓会、PTAの代表の方々にお示ししている」。

基本設計は学校関係者だけの意見でつくったのです。しかも、9月20日わずか7人を相手に説明しただけだったのです。住民に対しても、議員に対しても、説明責任を果たしていません。巨額の税金を投入する事業なのに、なぜそれほど隠す必要があるのでしょうか。あまりに「密室行政」だと思います。

私は新校舎に関しては予定通り、令和8年度開校を目指すべきだと考えています。しかし、本来なら、実施設計を作る際には、地域住民の理解を得ながら、可能な限り地元関係者の要望を取り入れるべきなのです。小中学校は将来にわたって、その地域の拠点、シンボルになるのです。そのため、当局は丁寧に説明すべきです。

高岡市の学校再編は、高陵で終わるわけではありません。この後も、学校の建設は続きます。教育長が日頃から丁寧な説明をするとおっしゃっています。今後は、ぜひとも、多くの住民が参加できる住民説明会を開いて欲しいと思っています。

そこで教育長に質問しました。今後の学校の建設にあたって、基本設計から実施設計までの間に、多く地元関係者が出席する住民説明会を開催し、実施設計に反映させるべきだと、考えていますが、市はどのように考えていますか。

こんな答弁が返ってきました。「学校施設の整備にあたっては、これまでも学校関係者をはじめ、地域や保護者の代表者などからご意見を伺っており、今後の再編対象校区でも同様にご意見を伺いながら、整備を進めていきたい」。

答弁を聞く限り、高陵小中学校と同じやり方で進める方針なのです。学校関係者の意見で基本設計をまとめ、一部の人だけに公開し、実施設計、工事という段取りなのです。しかし、外の世界を見ると、学校建設では多くの自治体は対話を重視しています。次回はある自治体の手法をお伝えします。

トップ写真:高陵中学校(筆者提供)




この記事を書いた人
出町譲高岡市議会議員・作家

1964年富山県高岡市生まれ。

富山県立高岡高校、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。


90年時事通信社入社。ニューヨーク特派員などを経て、2001年テレビ朝日入社。経済部で、内閣府や財界などを担当した。その後は、「報道ステーション」や「グッド!モーニング」など報道番組のデスクを務めた。


テレビ朝日に勤務しながら、11年の東日本大震災をきっかけに執筆活動を開始。『清貧と復興 土光敏夫100の言葉』(2011年、文藝春秋)はベストセラーに。


その後も、『母の力 土光敏夫をつくった100の言葉』(2013年、文藝春秋)、『九転十起 事業の鬼・浅野総一郎』(2013年、幻冬舎)、『景気を仕掛けた男 「丸井」創業者・青井忠治』(2015年、幻冬舎)、『日本への遺言 地域再生の神様《豊重哲郎》が起した奇跡』(2017年、幻冬舎)『現場発! ニッポン再興』(2019年、晶文社)などを出版した。


21年1月 故郷高岡の再興を目指して帰郷。

同年7月 高岡市長選に出馬。19,445票の信任を得るも志叶わず。

同年10月 高岡市議会議員選挙に立候補し、候補者29人中2位で当選。8,656票の得票数は、トップ当選の嶋川武秀氏(11,604票)と共に高岡市議会議員選挙の最高得票数を上回った。

出町譲

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."