【ファクトチェック】岸田総理「日本国に暮らす日本人の割合は10%で残りの90%は移民や不法難民で構わないみたいな発言」→虚偽
【ファクトチェック】
岸田総理「日本国に暮らす日本人の割合は10%で残りの90%は移民や不法難民で構わないみたいな発言」→虚偽
■ 疑義言説
以下のポストがX(旧Twitter)に2月12日になされた。
午後8:44 · 2024年2月10日、231.6万件の表示、5,078リポスト、665件の引用、1.6万件のいいねがついている。
日本国🇯🇵に暮らす日本人の割合は10%で残りの90%は移民や不法難民で構わないみたいな発言の岸田文雄総理大臣…
このポストには、以下のコミュニティノートが付いている。
切り取りによる印象操作です。岸田首相の実際の発言は以下の通りで、日本の90%が外国人で構わないというようなことは言っていません。 youtube.com/watch?v=POXl6L… (52:07~)「ただ共生する社会と言っても、これ、共生のしかたは世界において本当にさまざまだと思います。【※中略:ここでアラブ首長国連邦やカタールの話】こういった国も世界にはあるわけです。こういった国と日本の状況、これは比べるべくもないわけでありまして、やっぱり日本らしい、日本の現実に合った共生社会を考えていく。これが当然のことであると思っています。」
このポストについてファクトチェックする。
■ ファクトチェック
元の動画は(令和臨調1周年大会「第2回 政党との対話」:公益財団法人日本生産性本部 2023年7月22日)である。
こちらをチェックすると、岸田首相の発言は以下の通り。
人口減少問題について、2070年には総人口の1割以上を外国人が占めるという調査結果が出ている。これを受けて令和臨調共同代表の増田寛也氏は、外国人を受け入れるための環境整備に相当な覚悟と政策を持って取り組んでいかなければならないとし、政府として今後どのように臨んでいくのか岸田総理に見解を求めた。質問を受けた岸田総理は、外国人との共生社会を作らなければならないとした上で、次のように述べている。
「アラブ首長国連邦は人口1000万人ですが、自分の国の国民は100万人しかいない。900万人の外国人と共生している国です。そしてカタールも人口300万人ですが、自分の国の国民は30万人しかいない。全体の9割の外国人と共生している国、こういった国も世界にはあるわけです。こう言った国と日本の状況、これは比べるべくもないわけでありまして、日本らしい現実にあった共生社会を考えていくこれが当然のことであると考えております」(52分39秒~53:22)
発言の趣旨は、中東のような移民が主体の国家を模倣するのではなく、単民族国家である日本は、その実情にあった外国人との共生を図っていかなければならないとするものだ。したがって、「日本国に暮らす日本人の割合は10%で残りの90%は移民や不法難民で構わない」とは言っていない。動画を視聴すれば明らかである。
■ 判定
上記から、このポストは「虚偽」と判定する。
【Japan In-depthファクトチェックポリシー】
Japan In-depthは、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、ファクトチェックを実施しています。FIJが定めたガイドラインに準拠して、言説の真実性・正確性の評価・判定を行います。政治家、有識者の発言、メディアの報道、ネット上で拡散されている情報など、社会的に影響の大きな言説を対象とします。判定基準は以下の通りです。
トップ写真:インフラメンテナンス大賞授賞式に参加する岸田文雄総理大臣、 2024年1月18日 総理大臣官邸にて(本文とは関係ありません)引用:首相官邸ホームページ