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.社会  投稿日:2022/12/11

【ファクトチェック】日本国内の外国籍犯罪ランキング「ほとんどの罪で1位は韓国朝鮮」→誤り


Japan In-depth編集部(秋山彩葉・藤巻湖春)

 

【まとめ】

・国内での外国籍犯罪の件数は、ほとんどの罪名で、朝鮮韓国、または中国人が1、2位を占めている、とのツイートが拡散され、さらに日本人の殺害犯の大部分を構成するのは中国や韓国・朝鮮人であるとのツイートが投稿された。

中国、朝鮮韓国は犯罪件数の調査対象となっている人員の数が他国と比べて多いため、おのずと件数が多くなっているだけ。

・中国や朝鮮韓国は調査対象となっている母数の圧倒的な差が背景にあり、正確な調査や情報をもとにしたデータではなく、本ツイートは誤りと判定する。

 

「日本国内の外国籍犯罪ランキング」と称して、以下のツイートが公開されたのは1年以上前の2021年2月20日。これに対して当時、195件のリツイート10 件の引用ツイート448 件のいいね、などの反応が見られた。さほど拡散されはしなかった。

https://twitter.com/eiji_ebata/status/1363126273590001664

 ↑Tweet①

しかし、一年経ってまた同じようなツイートが投稿された。基本的に、韓国朝鮮と中国の犯罪率が高い、という内容だ。

〈再拡散〉

2022.10.21 (RT:3382 Fav:6016)

(画像)「日本国内の外国籍犯罪(警視庁)」

https://twitter.com/ieYEZkoBRCqsujz/status/1583303995996545024

https://twitter.com/ieYEZkoBRCqsujz/status/1583303995996545024

2022.11.9 (RT:3329 Fav:6476)

(画像)外国人犯罪

https://twitter.com/ieYEZkoBRCqsujz/status/1590185924373073922

Tweet / Twitter

  ↑Tweet②

Japan In-depthでは、これらのツイートが根拠あるものなのかどうかファクトチェックする。

 

■ Tweet①のファクトチェック

まず、Tweet①のファクトチェックを行う。

警視庁「令和3年度版犯罪白書」「9章外国人犯罪・非行、第2節犯罪の動向」を見てみる。

それによると、外国人による刑法犯の検挙件数は、令和2年で9,529人(前年比0.8%減)。同年における刑法犯検挙人員総数(18万2,582人)に占める外国人の比率は5.2%だった。

同犯罪白書で、「令和2年における来日外国人による窃盗及び傷害・暴行の国籍別検挙件数」を見ると、「窃盗」は、ベトナムが2,252件(検挙人員873人)と最も多く、2位が中国1,668件(同739人)3位が韓国・朝鮮461件(同106人)の順、との記載がある。

すでに1位が韓国朝鮮、2位が中国としているTweet①と矛盾している。

「傷害・暴行」は、中国が261件(同303人)と最も多く、次いでブラジル125件(同133人)、ベトナム118件(同134人)の順であり、こちらも韓国朝鮮が1位であるとのTweet①とは矛盾している。

ちなみに、同資料からの下図によると、平成13年~令和2年までに検挙された来日外国人による刑法犯の中で、殺人の罪で検挙された者のデータは記載されておらず、Tweet①で、殺人において韓国・朝鮮が1位であるとされている結論は導き出すことが出来ない。

図)来日外国人による刑法犯 検挙件数の推移(罪名別)

出典)令和3年版 犯罪白書 第4編/第9章/第2節/1

次に、警視庁犯罪統計資料(令和41月~10月犯罪統計)」を見てみる。

この資料には、「殺人罪」の検挙人数が記載されている。これによると、中国の検挙人員が6人であるのに対し、ベトナムの検挙人員は14人に上る。韓国・朝鮮においては0人にとどまっている。

よって、「殺人罪」の検挙数が1位に朝鮮韓国、2位に中国がランクインしていると述べているTweet①はこちらでも事実に反している。

表)来日外国人による重要犯罪

出典)犯罪統計資料(令和4年1~10月分)

また、「放火」、「強制性交等」、「強制わいせつ」の項目を見ると、大きな差はないものの、検挙人員においては中国が最も多いというデータが出ている。いずれにせよ、これら全ての罪において、朝鮮韓国が1位を占めているというTweet①は誤りである。

 

■Tweet②のファクトチェック

Tweet②も一部、ファクトチェックを行う。

Tweet②の図

Tweet②の図で、一番左の円グラフで表されている、「日本人を殺した来日外国人の割合」について調べる。

下の表は、来日外国人犯罪の検挙状況(平成27年)「国籍等別・包括罪種等別の検挙状況」を見ると、殺人犯の検挙人数は全体で33人、国別にみると1位がベトナム8人、2位が韓国6人、3位が中国4人となっている。中国人の殺人犯の比率は、約12%で、円グラフの45%に遠く及ばない。よって日本人を殺した来日外国人の45%を中国人が占めており、次いでフィリピン人、韓国朝鮮人が多いとしているTweet②の左の円グラフで示されているデータは誤りである。

図)国籍等別・包括罪種等別の検挙状況

出典)来日外国人犯罪の検挙状況(平成27年)

 

【Japan In-depthファクトチェックポリシー】

Japan In-depthは、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、ファクトチェックを実施しています。FIJが定めたガイドラインに準拠して、言説の真実性・正確性の評価・判定を行います。政治家、有識者の発言、メディアの報道、ネット上で拡散されている情報など、社会的に影響の大きな言説を対象とします。判定基準は以下の通りです。

 

トップ写真:路上でたむろする若者らと警備員 2021年10月31日 東京都・渋谷(記事の内容とは関係ありません)

出典:Photo by Yuichi Yamazaki/Getty Images

(了)

訂正:2022年12月12日14:00

以下を訂正しました。

・【まとめ】の3番目 不正確→誤り

訂正前:

中国や朝鮮韓国は調査対象となっている母数の圧倒的な差が背景にあり、正確な調査や情報をもとにしたデータではなく、本ツイートは不正確と判定する。

訂正後:

中国や朝鮮韓国は調査対象となっている母数の圧倒的な差が背景にあり、正確な調査や情報をもとにしたデータではなく、本ツイートは誤りと判定する。

・記事の最後のパラグラフ Tweet①→Tweet②

訂正前:

よって日本人を殺した来日外国人の45%を中国人が占めており、次いでフィリピン人、韓国朝鮮人が多いとしているTweet①の左の円グラフで示されているデータは誤りである。

 

 




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