防衛省、新型18式防弾ベストの調達停止と改良の背景
清谷信一(防衛ジャーナリスト)
【まとめ】
・防衛省は2026年度に新型18式防弾ベスト1万着、防弾板1.4万セットを要求。
・2023年度導入の18式防弾ベストは高額で、プレートキャリア単体使用不可などの問題が指摘された。
・問題を受け18式は調達停止、改良へ。2024年度以降は現用型防弾チョッキ3型(改)も調達。
防衛省は来年度概算要求で23年度に採用された18式防弾ベストに代わる改良型を要求する。2026年度概算では新型18式防弾ベスト10,000着、防弾板は14,000セットが要求されている。調達は一般競争入札による最低価格落札方式をとっており、金額を公開することで予定価格を類推されるおそれがあるため、調達の公平性を期す観点から公開できないと陸幕広報部は説明している。プレートキャリアが単体でできるようになっており、18式と異なりモールシステムは一部レーザーカットに変更されている。新型防弾ベスト現在2種類の最終案が存在しているが、年度末までにどちらを採用するか決定される。

写真)防弾ベストの供試品改良型 出典)防衛省
18式防弾ベストは2023年度に新型個人防弾システムの構成品として、「防弾チョッキ3型改」の後継として18式防弾ベストを導入した。これは普通科の新型の戦闘装着セットの構成品でもある。だが調達単価が極めて高く、また諸外国で普及している軽量なプレートキャリアもなかったことなど問題があった。
18式防弾ベスト一式の2023年度度調達価格は3,630,800円。調達額はソフト・アーマー及びプレート・キャリア:220,800円だが、防弾板セットは:3,410,000円(胸部×1:80万円、背部×1:85万円 、脇部×2:50万円、下腹部×1:40万円、上腕部×2:45万円)と極めて高額であった。2023年度予算には18式防弾ベストは8千セットが27億円で要求されているが、防弾板のセットはその予算内で僅か100セット、僅か1.25パーセント分しか調達されていない。
更にプレートキャリアは単体では使用できず、単に被弾時に迅速に脱がせることを容易とするためのクイックリリースが目的に採用されたものであった。諸外国ではすでに導入されているプレートキャリアを陸自では特殊作戦群など一部部隊以外では保有していない。プレートキャリアが存在しないことは重量やヒートマネジメントの面でも問題である。
これらの事実を筆者が「月刊軍事研究」で指摘し、それが2024年5月9日の 参議院 外交防衛委員会 で 高良鉄美議員がこの記事をもとに質問したこともあり、18式は調達が停止され、改良されることとなった。
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このため2024年度は18式防弾ベスト本体(防弾板を除く)5,620着 約20.8億円と18式防弾ベスト用防弾板(フルセット)100式約3.4億円が要求されたほかに、併用して現用型である防弾チョッキ3型(改)も調達された。防弾チョッキ3型(改)は本体(防弾板を除く)4,208着約7.4億円、防弾チョッキ3型(改)用防弾板1,474式 約11.4億円が調達された。更に新型防弾ベスト、18式防弾ベスト、防弾チョッキ3型に装着可能な耐弾プレート(改),2型を10,221式約52億円分調達されている。
2025年度は18式防弾ベスト本体(防弾板を除く)が現在公告準備中で、高価格と批判された18式防弾ベスト用防弾板の調達予定ない。防弾チョッキ3型(改)は本体(防弾板を除く)2,634着が入札公告中、防弾チョッキ3型(改)用防弾板も公告準備中である。また耐弾プレート(改),2型を11,000式約58億円分調達している。
END
トップ写真)18式防弾ベスト 出典)防衛省
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この記事を書いた人
清谷信一防衛ジャーナリスト
1962年生 防衛ジャーナリスト 作家。日本ペンクラブ会員。
2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェン
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