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.政治  投稿日:2026/1/16

「解散の大義」は?!:どこに行った?解党的出直し【高市政権の課題③】


西村健 (NPO法人日本公共利益研究所代表)

 

【まとめ】

高市政権、特に政治改革、企業団体献金においては何も進んでいない。

・企業団体献金の問題は、お金や動員できるスタッフ数などリソースの多寡によって影響力が左右されてしまう。

・従来型の「企業団体献金=自民党のビジネスモデル」も少し変革していくべき。



「解党的出直し」はどこにいったのか。

 

高市首相が衆議院の解散風が吹いているが、「解散の大義」が問われている。いったいなんのために解散するのだろうかと多くの人も疑問があるだろう。確かに、高市さんの立場からしたら、支持率が高く、政権基盤を確立することが目的だろうし、やりたいのはやまやまだ。しかし、まだ総選挙から1年3か月しかたっていない。「やってる感」は非常に強いが、これといった「成果」があるわけでもない。物価は高いは、円安は凄いは、コメは高いは、日本の失われた30年の経済に見通しはみえないは・・・・。

 

特に、政治改革については、あまり進んでいない。業界団体の方への補助金など不公平感を是正する租税特別措置について取り組みが始まったものの、企業団体献金は何もされていないといってもいい。公開の取り組みも微妙だ。

 


出典:自民党HP「第27回参議院選挙通常選挙総括委員会報告書」

 

自民党の参議院選挙の総括をした結果、つまり、「第27回参議院選挙通常選挙総括委員会報告書」にはこう書いてある。

 

「国民の多くは、引き続き十分納得していない厳しい現実」「自民党に対する不信の底流となっていることを厳しく自覚し、猛省をしなければならない」とある。自民党の「解党的出直し」は本格的におこなえた・・・のだろうか。

 

■企業団体献金の「問題」

業界や企業の意見を聞き、企業団体からの献金をもらって、それをもとに政治活動・行動をするというのが自民党のビジネスモデルであるから、企業団体建機が廃止はできない、絶対に譲れないラインなのはわかる。企業団体献金は、企業や団体側から見ると、コネクションや関係性構築、行政の規制回避、補助金取得といった目的での行為である。省庁に電話してもらったり、役人につないでもらったり、紹介活動は「口利き」に限りないほど近いし、グレーな領域だ。しかし、何かあった時の保険、お付き合い、応援したい気持ちを表す行為といった位置づけのものもなかにはあるからややこしい。政治のプロセスに影響を及ぼそうとするのは、何かしらの見返りやメリットがあるからである。

 

しかし、企業団体献金の問題は、お金や動員できるスタッフ数などリソースの多寡によって影響力が左右されてしまう。リソースが多い団体の言うことはそれなりに尊重され、聞いてもらえるわけだ。筆者はいくつかの党の党員だが、議員によっては、話を聞いてもらえないことも結構ある。格差は実際ある(笑)支援額や活動内容が大きく、優先順位が高い組織や人(つまり、スポンサー)だと率先して政治家は行動してくれるし、その団体の「代理人」といえるほど活動する政治家も結構いる。「族議員」というのはそんな人たちの一部でもある。

 

■企業団体献金の問題は日本経済に悪影響

こうした、政治の透明性や公平性を損ない、日本経済の構造改革を阻害する要因となっている。自民党は企業団体献金の必要性を国民に説明する責任があり、廃止できないなら、透明化を徹底的に推進すべきなのだ。企業団体献金の問題は日本経済に悪影響である。

 

第一に、健全な経済システムがゆがむこと。献金が多くだせるということは、大企業や業績がよい企業である。そのため、既存の業界地図が固定化されてしまう。「既得権益」となり、新たな経済改革や産業構造改革を阻むことになる。「失われた30年」の経済不振、既得権益を固定化させ産業構造改革が進まなかった点など、経済不振の元凶の要因の1つであるといえる。

 

献金を出せる業界、その時の主要企業が献金をする額が多くなる。結果、おいしい状況を温存することにつながり、その業界の構造改革などは行われることもない。健全な市場競争は歪み、産業構造改革が防がれ、イノベーションを阻まれるということだ。

 

第二に、公平性。国の予算の中には、各企業向けの助成金・補助金、租税特別措置、公共事業など様々ある。政治とのコネクションは有利に働く。外交においても、優良案件だと思われれば政治家が売り込みをしてくれるわけだ。コネクションがないところは、相手にもされない。政治献金を払っておけば、何かしら話は聞いてもらえるのだ。

 

第三に、企業の競争力である。2021年分の企業・団体献金は24億3千万円と言われている。2千万円のところも27社ほど、かなり大きい。多いところで当期純利益の0.7%程度でしか過ぎないとはいえ、新規事業やイノベーション事業を提案し、却下された社員のチャンスや可能性を減らしている。

 

■「企業団体献金=自民党のビジネスモデル」

自民党のビジネスモデルは、献金をもらい、そのお金で支部を置き、党員になってもらい、色々と関係を深めるもの。業界や企業の意見を独自のルートで伝えたり、紹介したり、時には、選挙活動でも動員や支持など多面的に支援してもらう。企業団体献金を廃止できない理由もそこにはある。企業団体献金こそ、他党と比較して、圧倒的に優位な競争力であるからだ。しかし、どうしても今の政治構造だと献金をしてくれる業界、企業などに政策プロセスが影響されてしまう。だからこそ、従来型の「企業団体献金=自民党のビジネスモデル」も少し変革していくべきだろう。なので、とりあえずは、様々な業界との関係、その業界の影響力をそぐために、個人献金、党員を増やす活動をするべきなのだ。

 

「第27回参議院選挙通常選挙総括委員会報告書」に記載の党員プラットフォームはどうなったのだろうか。参政党のようなボトムアップ運動をどこかの地域でやってみることをお勧めする。党員への特に、個人会員へのメリットやサポートも見直すべきだろう。

 

高市さんを輩出した総裁選挙、投票用紙問題など、がばがばな管理体制が明らかになった。それはどうなったのだろうか。

 

最後に、自民党の政治構造を少しでも実のあるものに変えないといけない。多くの人が票に群がり、利権に群がる構造。政治とはそういう面もあるから多分に仕方がないとは思うが、国民の期待はそこにあることを忘れてはいけない。高市さんに期待する。

 

トップ写真:(筆者作成)

 




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