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.政治  投稿日:2026/2/6

中道を拓き、政界再編を実現できるのか?!【「日本病」を治療する政策はこれだ!⑤】


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・中道改革連合は政界再編の一歩として意義があるが、結党手続きへの批判も強い。

・円安是正や生活者重視、行政透明化など本質的な政策を掲げる一方、実質は中道リベラル色が強く、政治改革では企業・団体献金廃止から後退した印象がある。

・日本病への解決力は限定的で、成功すれば二大政党制への道を開くが、失敗すれば自民党一強体制が続く分岐点となる。

 

新党「中道改革連合」が出現しました。価値観的に近い2党から議員が合流して、これで理念や政策スタンスと言う軸で分けると、すっきりした形になったといえます。立憲民主党の一部議員は原発、安保政策といった政策を転換して合流しました。長期的に見ますと、政界再編への序章になるかもしれません。

中道とは、極端を避け、偏りないバランスの取れた道・考え方のことです。政治学的意味においては、政策スタンスとリベラル・中道・保守という分け方において相対的な見方であり、政党座標軸に真ん中を示した考え方であります。右派的な価値観・左派的な価値観のどちらにも偏らない、既存の対立を超えてバランスの取れた政策を目指すと言う方向性のようです。「包摂」「共生」「平和」という理念を掲げる旗のもとの大同団結です。とはいえ、周到に根回しはしたそうですが、一部の幹部の決定による突然の結党でもあります。原口一博さんが言うように、立憲主義、民主主義手続きはどこかにいってしまったと批判されても仕方ない面もあります。

展望が見いだせなかった野田さん、安住さんの戦略が功を奏した窮地の打開策は電撃作戦でもありました。打つ手としては素晴らしいもので、自民党を一瞬恐怖に陥れました。中道と言う理念の下に結集した、政界再編の一歩と言うことで、非常に意味があるように思えます。しかし、政治に普段から触れていない多くの人にとっては、「数合わせの生き残り」「野合」とみられてしまってもいます。そこは選挙で、主権者が判断することになるでしょう。

日本病の問題解決度は?

さて、「社会の医者」こと筆者西村健は、「日本病」として9つの問題を提示しています。経済の「日本病」と言われる、「低所得」「低成長」「低金利」の問題だけでなく、

政治面では、

・機能しない行政経営:(例)政策の見直し・マネジメントも不十分、定着しないEBPM、スリム化しない・DX化が進まない肥大する行政機関など

・既得権益過剰配慮:(例)政治に近い業界団体・利益団体の過剰な政策への影響力、旧態依然な産業構造、進まない規制改革など

・説明責任不足:(例)過去に「失敗した」政策・施策・事業の検証不足、事業の見直しが進まず財政悪化、予算の使い道の詳細が未公開など

社会面では、

・権威主義社会:(例)低い幸福度、仕事やりがいの低さ、低いモチベーション・エンゲージメント、高ストレス、組織の病理など

・戦後の社会モデルのまま:(例)少子高齢化に対応できない硬直した制度と拡大志向、新卒採用・長期雇用・年功序列、パートナーシップ型企業経営など

・説明責任不足:(例)不明確な政策の目的達成度、説得不十分の為政者の説明、追及が甘いメディア・ジャーナリズム、緩い公益通報保護など

【出典】日本病、9つの特徴、筆者作成

これらの問題解決度合いを考えていきます。

国民民主党はこの9つの問題の中で、特に

・低所得

・説明責任不足

の2つについては多少改善できるだろうと思われます。日本病の問題解決としての評価は△になります。

「問題解決型」の政策提案

日本病とその問題解決としての「政策」は以下のようにまとめられます。

【出典】筆者作成

それぞれに手厚い、分厚い政策が並んでいます。「中低所得者の負担軽減と格差是正に向けた「給付付き税額控除制度」の早期導入、「社会保障と税の一体改革への取り組み」「食料品消費税ゼロおよび社会保険料等負担の低減」といった経済政策は、中道と言うより、リベラル色が強い模様です。

特徴は本質をついていることです。第一に、「行き過ぎた円安の是正と、食料品・エネルギーなど生活必需品の物価引き下げ」にあるように円安に焦点を上げています。

第二に、理念を提言しています。「一人ひとりの幸福を実現する、持続的な経済成長への政策転換」として生活者ファーストへの政策転換と、手取り対策にとどまらない額面が増える経済構造の構築を掲げています。

第三に、相変わらず行政の透明性はいろいろ問題への指摘です。「隠ぺい・改ざんを根絶、公文書管理制度と情報公開制度を抜本的に強化」と言う点をしっかりやっていくというところはさすがです。

しかし、立憲に期待していた政治改革の期待はしぼんでいます。「不断の政治改革と選挙制度改革」 では、政治資金の透明性・公正性を確保する法整備による、政治とカネをめぐる問題への終止符、企業・団体献金の受け手制限規制の強化/不正防止を担う第三者機関の創設としています。企業・団体献金の廃止を訴えていたときからかなり後退してしまったという印象です。

また、「裏金を許さず、政治資金の徹底的な透明化をすすめ、政治への信頼を取り戻します。」とありますが、不記載問題は野党議員にもあったはずです。そのあたりの制度設計の具体策が見られないのはとても残念です。

中道と新しいリベラルを体現?

中道と言うより、実質的に中道リベラルなのですが、政治的なポジショニングとしては比較的理念が近い人たちが集まったという意味で、日本政治の新たな段階に入ったことを示します。中道改革連合がうまくいかない場合、また、「一強多弱」の自民党政治が続いてしまい、政権交代すら起きない状況になります。日本のシステムを変えるには、二大政党が必要と言うのが中道改革連合の考えでしょう。

立憲民主党の路線変更は、支持率が低く、若者に見向きもされなく、今後の戦略上仕方なかったとはいえ、党員たちへの説明は全然なされていません。また、公明党は過去の与党を何十年も続けてきました。国土交通大臣はずっと公明党議員です。政権で何をやってきたのか、なぜ自民党政治を変えられなかったのか、を検証・説明する政治責任はあるでしょう。まずはそれを明確に示して筋をとおしてもらいたいものです。中道改革連合に期待します。

写真)中道改革連合 野田佳彦、斉藤鉄夫共同代表

出典)X CRAJ2026




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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