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.政治  投稿日:2026/1/21

36年ぶりの厳冬解散:日本政治『新たな段階』へ突入するか


宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

外交・安保カレンダー 2026#03

 2026年1月19-25日

【まとめ】

・1月23日衆議院解散で、36年ぶりの寒い2月総選挙。出馬者・有権者ともに「お疲れ様」としか言えない。

・公明票が立憲に加われば自民大敗という単純計算は参考程度。石破内閣と高市内閣の支持率差を無視すれば意味がない。

・今回の総選挙は日本政治の新たな段階を示す可能性あり。「消費税減税」ばかりの甘い言葉に惑わされず、有権者の健全な判断を期待したい。

1月23日に衆議院が解散となる。国内政治は筆者の専門ではないが、この寒い2月の総選挙は1990年以来36年ぶりらしい。出馬される方も、投票される方も、「お疲れ様」としか言いようがない。結果についても、超楽観論から超悲観論まで、実に様々な予想があるが、今回ばかりはどれも「尤もらしく」聞こえるから不思議だ。

その好例が、前回の総選挙の結果を踏まえて「公明党票が立憲票に加われば自民党は大敗する」という予測だろう。石破内閣と高市内閣では支持率が大きく違う。それを考慮せずに、足し算と引き算をしても、参考情報にしかならないことぐらい、素人でも分かると思うのだが・・・。やはり政治、特に選挙は人々の判断を曇らせるのか・・・。

先週は、ベネズエラでの事件が、「ユーラシア大陸ハートランドのランドパワーの拡大と、それを牽制したいシーパワーとの対立」である「グレートゲーム」の「パート3」が始まったことを象徴する、などと書いた。その後のイランやグリーンランドをめぐる米国内の混乱ぶりを見ると、ますますその感を強くする今日この頃である。

これと同様、日本の国内政治も漸く新たな段階に入りつつあるのかもしれない。されば、今回の総選挙でも今後の日本の方向性を決めるような大きな変化が起きる可能性があるのではないか。今回は短期決戦だそうだが、「消費税減税」ばかりが叫ばれる中、甘い言葉に惑わされない有権者の健全な判断を期待したいものだ。

このことも含め、今週の産経新聞WorldWatchには毎年恒例の「20●●年に起きないこと」というコラムを書いた。お時間があればご一読願いたいが、日本内政について言えば、「高市首相の早期解散断行で、仮に自民党が一時的に政権を維持しても、日本政治の『小政党乱立』傾向は止まらない・・・」と書いた。果たしてどうなるのか。

一方、日韓首脳会談は「ふわっと」静かに終わってしまった気がする。日伊首脳会談も同様だ。特に韓国との首脳会談ではもう少し「対立点」が浮き彫りになるのかと心配したが、幸い取り越し苦労だったのか・・・それとも、実は深刻な問題があったのか。筆者は韓国大統領の政治家としての成熟ぶりを高く評価したいのだが・・・

続いては、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。ここでは海外の各種ニュースレターが取り上げる外交内政イベントの中から興味深いものを筆者が勝手に選んでご紹介している。今週は米国が三連休でソースが少ないのだが、欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。

1月19日 月曜日 日本首相、衆院解散を正式表明

欧州議会本会議(22日まで)

世界経済フォーラム(ダボス会議)(23日まで)

グリーンランド問題を巡る高官級協議

ベトナム共産党大会(ハノイ、25日まで)

 

1月20日 火曜日 第二期トランプ政権、一周年

1月21日 水曜日 米大統領による経済演説

1月23日 金曜日 日本、衆院解散

最後はガザ・中東情勢だが、今週もイラン情勢を取り上げる。先週までイラン国内は荒れに荒れていたが、今週は一転、表面上は沈静化したように見える。国内の既得権層のスキャンダル、水・電気不足、インフレ、通貨暴落などで不満を爆発させた反政府デモの頻発はどうやら峠を超えたようだ。

トランプ政権の「武力攻撃」恫喝は効果があったのか?結局対イラン攻撃に踏み切らなかったトランプ氏は「イランで処刑が行われなくなった」など述べていたが・・・。それよりも効果が大きかったのはイスラエルや湾岸アラブ産油諸国からの働き掛けだろう。イスラエルは準備不足、湾岸諸国は自国への報復攻撃を夫々恐れたのだろう。

先週は「馬鹿なことは止めた方が良い。攻撃すれば、イランの体制は再び強化される」と書いた。今回の反政府デモはかなり大規模だったが、あの程度では体制転覆は難しい。今回イラン政府は騒乱を一応封じ込めたようだが、この種の騒動は今後も必ず再発する。されば、イスラエルや米国がイランを攻撃する可能性も「常にある」とみるべきだろう。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

写真)日韓首脳会談 2026年1月13日 日本・奈良

出典) Issei Kato – Pool/Getty Images




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