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政治  投稿日:2014/11/19

[藤田正美]【与野党対立軸なき総選挙に疑問】~増税先延ばしは後世に負担送りつけるだけ~

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 藤田正美(ジャーナリスト)「藤田正美が見る世界と日本」

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安倍首相は、来年10月の消費税率引き上げを1年半延期し、その信を問うとして衆議院を解散することを発表した。安倍首相にとってショックだったのは、今年4月の消費税率引き上げの反動減を7〜9月期まで引きずってしまったことだろう。大方の予測ではプラス3%ぐらいはと思われていたのに、蓋を開けてみればマイナス1.6%という予想外の数字になった。

野党はいっせいに「アベノミクスの失敗」とはやし立てるが、だからといって野党に代案があるわけではない。それに消費税引き上げの先延ばしに反対している政党はない。つまり自公という連立与党と野党との対立軸がないも同然なのである。

それなのに解散を強行するのは、要するに、来年、再来年と解散するいいタイミングがないという「党利党略」からきているのだと思う。

とりわけ2016年は7月ごろに参院選があり、さらに任期いっぱいになる衆議院の選挙をその年のうちに行わなければならない。2015年10月に予定されていた消費税の引き上げをして、その影響で景気が悪かったら、衆参共に負けてしまうかもしれない。

しかし、日本はいまそういった政治的な駆け引きに費やす時間はあまりないのだと思う。とにかくこのマイナス1.6%という数字には反応しなければならない。補正でも何でも打てる手は打つべきときだ。もしここで手をこまねいていると、下手をすれば回復力が十分に強くならず、今年度の成長率がマイナスになってしまうこともありうる。投資家に与える心理的な影響も決して無視はできまい。

また増税の先延ばしは、結局は負担をタイムカプセルに入れて後世へ送りつけるだけ、ということも考えておかなければなるまい。ましてこれから負担は増える一方なのである。

毎年の予算の中身を見れば、増税も、社会保障改革も一体化して進める必要があることはすぐに分かるはずだ。いまは前期高齢者となっている団塊の世代は、あと10年たつと後期高齢者になる。そうなれば団塊の世代が必要とする医療費は大幅に増えるだろう。

医療も産業だと言えば聞こえはいいが、何兆円も増える医療費をどう賄うのかは大問題なのだ。今のままで言えば、早晩行き詰まる。

その時には、たとえば80歳以上は健康保険で治療しないというようなドラスチックな変化、それも望ましくない変化が生じる可能性がある。そういうことを考えるなら、ここで大義なき解散をすることは、百害あって一利なしということになるかもしれない。

 

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