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.国際  投稿日:2014/12/15

[古森義久]【北朝鮮関与か?ソニーへのサイバー攻撃】~ソニー関係者の関与疑惑も浮上~


古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

執筆記事プロフィールBlog

 

ソニーへのサイバー攻撃が広がっている。ソニーが制作した北朝鮮についての映画に抗議する北朝鮮当局の組織からの攻撃だともいわれる。アメリカ側では北朝鮮がインターネット上の国際的な攻撃能力までを持っていることへの改めての驚きが広がる一方、この攻撃には実は日本国内の人物も関与しているという情報が流れ、ナゾを深めている。

ソニーのアメリカ子会社でカリフォルニア州に本社をおくソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント(SPE)を標的としたサイバー攻撃は11月下旬に表面化した。SPEの内部の会合の記録や新作品の非公開情報、役員の報酬額など明らかに企業秘密に属する情報が次々にインターネット上で流された。何者かが明らかにSPEのパソコン・システムに侵入し、内部情報を盗み出したことが示されていた。

このSPEへのサイバー攻撃は当初は中国を拠点に北朝鮮を支援するとされる組織「ガーディアンズ・オブ・ピース(平和の守護者)」が犯行声明を出していた。その種の攻撃の理由としてはSPEが12月25日から全米で公開する映画「ジ・インタビュー」をあげていた。この映画は北朝鮮の金正恩第1書記をテレビ取材のインタビューを利用して暗殺を図るという内容で、北朝鮮当局も反発をみせていた。

だからSPEへのサイバー攻撃も北朝鮮当局が直接に関与しているとの見方はアメリカ政府筋からも表明されていた。その根拠としては北朝鮮の国家機関が2011年と2013年に韓国の金融機関にサイバー攻撃をかけ、オンライン取引などを麻痺させ、実害を与えた実例が確認されたことがあげられていた。北朝鮮にはすでに外国の官民のコンピューターシステムに侵入して破壊や混乱を起こす能力を有していることの例証だった。

しかし今回の北朝鮮がらみとみられるSPEへのサイバー攻撃が北朝鮮内部からの行動だという点に関してはアメリカの連邦捜査局(FBI)もまだ確認はできないと述べている。その一方、同じFBIの情報として、このサイバー攻撃には日本在住のソニー関係者一人がかかわっているという疑惑も浮かんできたという。

このように「北朝鮮によるサイバー攻撃」というのはまだまだ確定できない部分の残るミステリーのようだが、このFBI情報のように、いずれにしても日本への密接なかかわりがあることは確実なようだ。

 

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