[朴斗鎮]【北朝鮮広報を務める日本人学者達】~「日朝交流学術訪朝団」は北朝鮮で何を見てきたのか?~
10月7日から13日まで北朝鮮を訪れた「日朝交流学術訪朝団」のメンバーによる報告会が11月4日、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)で行われた。同訪朝団は「日朝国交促進国民協会」がコーディネートした訪朝団で、参加したメンバーは、和田春樹東京大学名誉教授、小此木政夫慶応大学名誉教授、小牧輝夫大阪経済法科大学客員教授、木宮正史東京大学教授、美根慶樹元日朝交渉大使、平井久志立命館大学客員教授、布袋敏博早稲田大学教授、竹中一雄元国民経済研究協会会長、吉田進元日商岩井専務取締役、西野純也慶応義塾大法学部准教授の10人である。
滞在期間中、社会科学院の専門家や外務省の宋日昊日本担当大使と懇談したほか、光復地区商業センターなど平壌市内の各所を参観し、元山、馬息嶺スキー場なども見学したという。
帰国後、このメンバーはテレビや報告会などに出演し、「聞くと見るとは大違い。経済状態は良くなっている。これは否定しがたい。北朝鮮は(拉致問題に対する)報告を遅らせているとの印象は心外だと語っていた」(美根氏)、「北朝鮮に制裁は効いていない。日本の制裁措置で訪朝できず、この間(10年間)の朝鮮の変化を見過ごしてきたことは学者として失格だ」(小此木氏)、「サラミも重ねれば大きくなる。北朝鮮とは頻繁に行き来すべきだ。善意に解釈すれば国家保衛部も工作機関を捜査できる」(平井氏)などと北朝鮮のプロパガンダに沿った発言や意味不明の発言を行っている。さらに美根、平井両氏は、「拉致関連団体の発言やメディアの憶測に基づいた報道が調査を妨害している」との「北朝鮮側懸念」を忠実に伝えることも忘れなかった。
その他メンバーも「(日本が)制裁を強化すれば頭を下げてくるというのは誤り」(竹中氏)、「建設ラッシュ、女性のファッション、携帯電話の普及、自動車の交通量の増大など活気ある平壌」(木宮氏)、「日本側に言いたいこともあるが、極力それを抑えている印象を受けた」(和田氏)などと北朝鮮広報の役割を果たしている。
このメンバーは、平壌や馬息嶺スキー場などを4~5日程度見学し、北朝鮮側学者の説明や宋日昊大使の言い分を聞かされて帰ってきただけだ。それにもかかわらず、現在の北朝鮮全体がわかったような断定的発言を繰り返している。小此木氏に至っては、「この間の朝鮮の変化を見過ごしてきたことは学者として失格だ」と語ったが、彼が見聞きしてきたぐらいのことは、日本にいても十分に知りえた内容である。まさに「学者として失格」だ。
ただ残念なのは、このメンバーが「拉致被害者を早急に日本に返すことが日朝関係改善の道だ」と拉致被害者家族と日本国民の強い思いを北朝鮮側に伝えた形跡がないことである。
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