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.国際  投稿日:2015/1/27

[宮家邦彦]【イスラム国・人質事件は日本版9.11】~戦後日本人の生き様に対する挑戦~


宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2015年1月26-2月1日)

執筆記事プロフィールblogWeb

イスラム国・人質事件は日本版9.11】~戦後日本人の生き様に対する挑戦~

恐れていた事態が遂に起き、一日遅れとなった原稿を今ジャカルタで書いている。「イスラム国」人質事件は日本版の9.11となるだろう。これは戦後一貫して平和と安定のため経済・人道援助を続けてきた日本人の生き様に対するあからさまな挑戦だ。湯川遥菜氏に心から哀悼の意を表すると共に、残る後藤健二氏の無事解放を祈りたい。

〇欧州・ロシア
26日、ギリシャ総選挙で第1党となった緊縮財政反対派の急進左派連合が、同じく「反緊縮」を掲げる右派政党と連立政権で合意し、同連合党首が首相就任を宣言した。この結果はEUがギリシャに求めてきた厳しい緊縮財政に対する反乱を意味するのだろうが、ギリシャ一般大衆はこれで事態が改善するとでも思っているのか。

前政権与党の新民主主義党は76議席しか獲得できなかった。新たに第一党となった急進左派はEUへの債務返済の見直し、最低賃金引上げなど緊縮策の見直しを主張した。一般大衆の支持は集まったが、これで遠くない将来にユーロ危機が再燃することも必至だろう。そもそも何故ギリシャなんかをユーロ圏に入れたのか。

〇アメリカ両大陸
オバマ大統領のインド訪問については南アジアの部分で触れる。

〇東アジア・大洋州
日本では今週から通常国会が始まる。複数の記者がジャカルタの筆者まで電話をかけてきた。「安倍首相のカイロ演説が人質事件を誘発した」との批判、日本政府の取るべき選択肢などについて質問された。前者については「事件が起きたのは昨年のこと、特定の政治家による首相批判については内政問題なのでコメントしない」と答えた。

一方、後者については「自分は知らない。仮に知っていても絶対に言わない」と答えたが、それでも食い下がる向きには「今回のような人命の関わる事件で政府が取り得る具体的選択肢の是非について詳しく言及することは無責任でしかないから、一切答えない」と突き放した。申し訳ないことをしたが、理解されなくても仕方がない。

〇インド亜大陸
25日にオバマ米大統領がインドの共和国記念日式典に主賓として出席した。この首脳会談は具体的成果よりも、象徴的な意義の方が重要だ。この会談によってインドのモディ首相が米印の対中国牽制に踏み切るとまでは言わないが、中国の台頭に対抗する米印の水面下の動きはこれまで以上に活発化するかもしれない。

〇中東・アフリカ
日本関連の人質事件よりも欧米で注目されたのはサウジ国王逝去のニュースだった。79歳の皇太子が次期国王になると聞いて、「それじゃあ、国王は100歳以上だったのね」とのたまった日本人女性がいた。サウド王室の数千人とも言われる「プリンスたちの権力闘争」を不安視する向きもあるが、筆者はかなり楽観的だ。

サウジの王子たちは日本の「国家公務員一種試験合格者」程度の存在だと思えばよい。年功序列で出世はするのだが、能力に応じ適当に間引かれるので、王家は基本的に安定している。今週はこのくらいにしておこう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。


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