[安倍宏行]朝活ブームの背景〜「自分の価値を高めたい」というニーズに応えるビジネス
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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やたら増殖しているのだ。
そう、「朝活」が。確かに昔からありはした。「丸の内朝大学」とか。OL(死語か・・?)の皆さんが通ってるのだろうか?等と勝手に思っていたが、まさか、この年になって自分も通う事になろうとは。
今週、体験してきたのは、六本木ヒルズで行われていた「朝英語の会」だ。開始は7時半。ヒルズの中に最近できた卵料理の店“Eggcellent”に向かう。どういう会かと言うと、英字新聞である“Japan Times”を教材にし、グループ単位で1つのテーマについてのディスカッションを行うものだ。
テーブルには“e-book”についての記事が置いてある。内容は、日本でブックリーダーがアメリカほど普及しないことについての分析だ。まずは、バイリンガルの講師の指示で目の前の人と簡単な自己紹介、次に講師によるボキャブラリーの説明、続いて記事の内容についてパートナーと意見交換、最後にグループ4人で更にディスカッションを行う。グループ毎に思いついたTechnical Vocabulary の数を競うなど遊びの要素も取り入れて、集中が途切れないようにする工夫も。
新聞、卵料理がつくというナイスな体験レッスンに20人ほどの社会人が参加していたのにはちょっとびっくりした。しかも、参加者の英語のレベルがかなり高いのだ。私のパートナーは聞けば職場にアジア人や欧米人がかなりの数いるので絶えず英語を使う環境で、同僚に誘われて来たと言っていた。1時間半の会が終わると、自然とこれからも続けようという人が集まり、直ぐにLINEでグループを組んだ。来週から定期的に継続することが決まった。このスピード感は凄い。
さてこの会、何故、朝食サービスや講師派遣までついているのかというと、実は企業の立派なビジネスなのだ。スポンサーは株式会社ジャパンタイムズ。そしてバックアップしているのは、株式会社リヴァンプという会社だ。購読者を増やしたいジャパンタイムズ社と、そのサポートをするリヴァンプ社がコラボして生まれたもの。参加者は多士済々、マスコミもいれば、IT企業の人もある。金融関係や幼児向け英語塾の経営者も。とにかくモチベが高い人の集団だから、すんなりと継続が決まったわけだ。
そしてかくいう私は、別の朝活を手伝っている。外国特派員協会(FCCJ)の「朝会」だ。これまた会員を増やしたいFCCJが12月から毎月行う、英語で行うセミナーだ。ビジネスリーダーらを呼び英語で講演を聞き、質疑応答を行うというもの。第1回目(12月3日・朝7時30分〜8時45分)のゲストは、Japan In-Depthにも寄稿してくれた、クオンタムリープの出井伸之氏だ。朝食もついて、参加費1500円。決して高くは無いだろう。
それ以外にも、各国の大使館を呼んで話を聞く朝活というのもあった。まだまだ他にもあるだろうし、どんどん増えて行く気配だ。アベノミクス効果のひとつか?とも思ったが、景気と連動しているというよりは、企業活動のグローバル化の加速により、スキルに磨きをかけ、自分の価値を高めようという人が増えている、というのが背景だろう。
職場での外国人スタッフの増加や、海外要員への強い需要などがその背景にあると思われる。いずれにしても、英語は自分は苦手で、などと言っていられない時代になった、そこのあなた。一緒に「朝英語」、やりますか?
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