真実や本質は主体的に学ぼうとしなければわからない〜Japan In-depthに向けて。
出井伸之(クオンタムリープ株式会社 代表取締役 ファウンダー&CEO)
真実や本質というものは主体的に学ぼうとしなければわからないものです。
本質を理解するヒントは、その対象物をどこから眺めるのか、かもしれません。目の前のものだけを見るのではなく、その後ろにある事象に目を向けたり、反対側を眺めてみると、新しい景色や違う事実、その背景が見えてきます。対極を見ることによって本質に迫ることができるのです。
微視と巨視、ACTIVEとPASSIVE、主観と客観、対極の視点は、色々あります。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、「葉を見て木を見ず」ということもあります。しかし、「葉を見ること」、「森を見ること」それこそが微視と巨視の視点の一つだと思うのです。本質に迫ろうとするならば、対極のサブジェクトは永遠にあるのです。対極を見ることによって、本質が理解できたとき、「極」のどちらかを選択するのではなく、第3のソリューションや第3の道が生まれる、対極を見ることの楽しみはそこにあるのだと思います。
世の中には、膨大な情報が溢れています。
今は、既存メディアが支配する情報社会から、自らメディアを選別する世の中になったと言っても、メディアはときに一方的な情報を押し付けます。知らず知らずのうちに、その情報に思考が占有されているものです。本質に気づいている人は果たしてどのくらいいるのでしょうか。
同じテーマでも、違った意見を両方紹介するような、そのようなメディアになって欲しいと願っています。
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クオンタムリープ株式会社 代表取締役 ファウンダー&CEO。2005年6月にソニー会長兼グループCEOを退任後、2006年9月にクオンタムリープ株式会社を設立。産業の活性化や新産業・新ビジネス創出を実現するための活動をグローバルに展開している。2012年6月にNPO法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブを設立、理事長に就任。他にアクセンチュア、百度公司(Baidu)、レノボ・グループ(Lenovo)、フリービットの社外取締役、美しい森林づくり全国推進会議の代表などを務める。上海交通大学、海外教育学院教授。主な著書に「日本大転換」「日本進化論」「迷いと決断」「非連続の時代」「ONとOFF」他多数