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.社会  投稿日:2015/3/15

[Japan In-depth 編集部]【クリステルさん、殺処分ゼロ訴える】~“命の花”プロジェクトを高校生と~


Japan In-depth 編集部(Aya)

赤、白、ピンク、黄色…色とりどりに咲く美しい花たち。この花の下には殺処分された犬や猫の骨が土に混ぜられ埋まっている。これは普通の花とは違う、少し特別な“いのちの花”だ。

日本では、一年間に約13万頭の犬や猫が殺処分されていることをご存じだろうか。青森県立三本木農業高等学校動物科学科愛玩動物研究室の生徒たちは、殺処分された犬や猫の骨を砕いて土に混ぜ、花を育てる活動を通して「命の尊さ」と「青森県の殺処分の現状」を訴えている。この活動に感銘を受けた動物保護団体「クリステル・ヴィ・アンサンブル」代表滝川クリステルさんと、同高校生徒たちによるイベントが15日、東京・恵比寿で行われた。

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滝川さんの財団は昨年5月に立ち上げられ、「2020年までに殺処分ゼロ」を掲げて、様々な活動を行っている。テレビで彼女たちの活動を知り、感動した滝川さんの下に届いたのは、学生の一人、石橋香織さんの「一緒に活動したい」という手紙。滝川さんはすぐに現地に足を運び、生徒たちと一緒に骨を砕き、花を植える作業を体験した。「(作業中)首輪の破片などが出てくるとこみ上げるものがあったが、泣かずにこらえて作業した」という。滝川さんが彼女たちを招き、今回のイベントが実現した。

イベントでは、集まった人たちが、鉢に花の苗を植え替える「鉢上げ」体験をした。高校生たちに手伝ってもらい、自分の手でバケツの土に砕いた骨を混ぜ、それを鉢に入れて苗を植える。出来上がった鉢を滝川さんが袋に入れて、笑顔で手渡す。最後に生徒たちから、「大切に育ててください」などの手書きメッセージが渡された。

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石橋さんは、「多くの人に(殺処分の)現状を知ってもらいたい。私たちの活動が広まっているのが少しずつ見えてきて嬉しい。」と話した。3月で高校を卒業し、トリマーの専門学校に進学するという。「専門学校のオープンキャンパスでは、定期的に犬を洗わず、汚い状態で連れてくる飼い主がいると聞いたので、飼い主さんたちに、飼い方についてもアドバイスしてあげたい。」と意欲を語った。

滝川さんは、「2020年に向けて、この花が増えるのではなく、減っていてほしい。」と話し、「殺処分ゼロ実現の目標である2020年までこの活動を続けていきたい。SNSなど、いろんな形で広めて言ってもらいたい。」と、多くの人が命の大切さを知り、この活動が全国に広がることに期待感を示した。

殺処分ゼロに向けては、一部の地方自治体などで積極的な取り組みが見られたり、超党派の議員連盟が結成されたりなど、前向きな動きも見られる。しかし、8週齢規制などに関する動物愛護法のより厳格な適用や生体販売禁止の問題など、課題は多い。今やペットは私たちの生活になくてはならない存在。社会の問題としてより深い議論と対策が必要だろう。


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