[古森義久]【TBS、ドラマで拉致救出シンボル使い「反自民」】~悪辣政治家の胸にブルーリボンバッチ~

古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)
「古森義久の内外透視」
TBSがテレビドラマで悪役の政治家に北朝鮮による拉致被害者救出を祈るシンボルのブルーリボンバッジをつけさせたことは、安倍晋三首相や安倍政権への悪印象のにじませが露骨だといえそうである。TBS広報部は「他意はなかった」と弁明するが、安倍首相や拉致問題解決に努力する勢力をドラマの悪役と重ね合わせるという操作はなんの他意もないところに生まれるはずがない。問題のTBSドラマは8月31日放映の「SP八剱貴志(やつるぎ・たかし)」だった。警視庁を舞台にしたこのドラマに登場する悪辣政治家は特定の業者に便宜を図る見返りに賄賂を受け取り、逮捕される。その逮捕される政治家の胸にブルーリボンバッジがつけられていた。
このバッジは北朝鮮に拉致された日本人被害者を救出する運動を進める人たちや、その運動に同調する人たちによって着用され、「拉致被害者たちを決して忘れない」という無言の意思表示ともなってきた。国会議員の間でも拉致問題解決に早くから取り組んできた安倍首相など自民党だけでなく幅広い層が着けてきた。
その人道主義の意思表示のバッジをあえてドラマの汚職議員に着用させたことに対し、拉致被害者家族の一員、増元照明氏は「ドラマでの使用によって、視聴者の被害者救出運動やブルーリボンに対する印象が悪くなる恐れがある」と抗議の意を表明した。
そもそも汚職議員に拉致解決バッジをつけさせねばならない理由はなんなのだろう。ドラマの筋書からは汚職を拉致バッジに結びつける必然的な理由はまったくないようだ。その理由はむしろ拉致バッジを汚職に結びつけようという逆の理屈としか思えない。つまり拉致バッジをつけている議員たちは邪悪な汚職政治家なのだ、という政治的メッセージがそのドラマにはある、ということである。
TBSは9月4日、ホームページに以下のような記述を載せた。
「全く他意はありませんでしたが、配慮に欠け、拉致被害者のご家族をはじめ支援者、関係の皆様のお気持ちを傷つけたことを心よりお詫び申し上げます。今後はより一層注意して番組制作にあたります」
「他意はない」という言葉に説得力はない。TBSの番組全体が徹底して反安倍晋三、反自民党で貫かれているからだ。ドラマをも利用して、安倍首相がいつもつけている拉致バッジは汚職政治家がつけるバッジと同じなのだという印象を放射する。結果としてそう考えざるをえない「操作」なのだ。







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