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政治  投稿日:2016/5/24

改憲か護憲かだけの議論は無意味 日本報道検証機構 楊井人文代表

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Japan In-depth 編集部

5月3日は憲法記念日。日本報道検証機構の楊井人文氏を迎え、「憲法九条をめぐる対話は不可能か」というテーマで議論した。

憲法記念日の各メディアの報道ぶりについて、楊井氏は、「相変わらずお決まりの二項対立」と評し、改憲派と護憲派が開いた集会を型通りに取材して報道するものが多かったと感想を述べた。

楊井氏は、憲法改正が是か非かという問い方は意味がなく、どの条文をどう変えるかを問う必要があると指摘。護憲派、改憲派の運動をしてきたごく一部の熱心な人たちを除いて、大半の人たちが蚊帳の外におかれているが、メディアはいつも少数の両極にばかりスポットライトを当てて報道していることが問題だという。

それを裏付けるものとして、楊井氏は朝日新聞の世論調査結果を示した。それによると、憲法改正に関する議論に関して、「あまり深まっていない」と「全く深まっていない」を合わせると82%にのぼる。

来年で70周年を迎える日本国憲法だが、これまでの歴史の中で安保法制を巡ってデモがあったり、PKO法案の際にも注目されたりした。何故議論が深まっていないのだろうか。楊井氏は、「(改憲派と護憲派は)そもそも議論したことがないのではないか。」と話す。彼らは、今まで内輪の集まりの中だけで各々の主張をしており、両者がきちんと向き合ってお互いの意見を戦わせることはなかった。しかも、憲法9条に限ってみても、典型的な護憲派と改憲派のどちらにも属さない様々な立場があるが、ほとんど注目されてこなかった。

そこで、日本報道検証機構GoHoo)とJapan In-depthは、異なる立場どうしの対話の場をつくろうと、6月8日に「公開熟議 どうする?憲法9条」というシンポジウムを共同開催する。場所は東京都千代田区のプレスセンタービル10階の日本記者クラブホールで、午後6時から約3時間の予定。

このイベントでは、「近い将来、憲法9条を改めるべきか、改めるべきでないか」をテーマに、四人の全く異なる立場の識者が討論を行う。登壇するのは元日本共産党政策委員会安保外交部長を経て、かもがわ出版編集長を務める松竹伸幸氏、東京外国語大学大学院教授の伊勢崎賢治氏、法哲学者で東京大学大学院教授の井上達夫氏、NHK経営委員で埼玉大学名誉教授の長谷川三千子氏。この中で一番護憲派に近いのは松竹氏だが、「松竹氏のような立場が現在の世論で最もマジョリティに近いのではないか。」と楊井氏は述べた。松竹氏は、9条を改正すべきではないという立場を取りながら、自衛隊については認めている。

紛争問題に詳しい伊勢崎氏は以前は改正反対を唱えていたが、安保法制が成立した昨年からは、「9条は歯止めにならないから、新しい9条で自衛隊に歯止めをかける。」という護憲的改憲の立場を取っている。

Japan-Indepthチャンネルにも出演した井上達夫氏は、9条削除論者だ。どのように戦力を持つか等は憲法で決めるのではなく、民主主義のプロセスで議論すべきだと唱える。ただし、9条を削除するだけでなくシビリアンコントロールなど憲法に記載すべき条文もあるという立場だ。

長谷川三千子氏は、従来の改憲派の主張に近く、憲法9条は米国の軍事戦略の一環として作られたもので内容的にも欠陥があるとして、長年改正論を主張している。長谷川氏、井上氏、伊勢崎氏の3名は具体的な改正条文案も当日発表する予定だ。

こうした立場の違う論客が顔を突き合わせて真剣に討議する機会は、本来テレビや新聞が作り、人々に判断材料を提供する役割があるが、実際そのようなことを行っているメディアはない。そこで、今回の企画では、討議の模様を収録したDVDを各メディアに配付し、メディアに一石を投じるという目的もある。開催費用などの資金をクラウドファンディングで募っている。「議論とは色んな条件を知った上でどう考えるか。」と安倍編集長は述べ、この試みが多くの人の目に触れることに期待を示した。

(この記事は、ニコ生【Japan In-depthチャンネル】2016年5月11日放送の要約です)

トップ画像:ⓒJapan In-depth 編集部

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