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.経済  投稿日:2013/10/1

[安倍宏行]【被災地リポート】ふくしま弾丸ツアー


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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「あ、あった!かわいい~!」畑で歓声が上がった。

「解放食堂」のスピンオフ企画、「ふくしま弾丸ツアー」の一幕だ。福島県いわき市、久之浜町のオーガニックコットン畑で、関西、関東から集まった若者たちが、慣れない農作業(雑草取り)をやっている。まだコットンの収穫には少し時期尚早だったが、気が早いコットンの実が開き、綿がのぞいているのを見るのは皆、初めての体験だ。夜行バスで関西から東京に来た学生も社会人もいる。皆に共通しているのは、「社会のために何かをしたい」という気持ちだ。
行ってみたいとは思うものの、機会が見つからず、これまで被災地に行った事がない、という人は思いのほか多い。しかし、こうしてツアーを組むと多くの若者が参加してくれる。みんな関心があるんだ。自分たちも何かをしたいんだ、という気持ちが、そこにある。
地元のNPOさんたちとコラボで組んだ今回のツアー。プログラムの中で、地元の主婦の皆さんが豚汁をふるまってくれた。「こうして来てくれて本当に嬉しい。今回来て体験した事を帰っても忘れないで・・・。そしていつ来るかわからない災害に備えてください。」その言葉に胸打たれ、別れる時硬く握手をし、バスが動き出してもずっと手を振り続けていた皆さん・・・参加者は、一様に何かを感じ取ったに違いない。
バスの中に地元の新聞が置いてあった。京都から来た参加者がツイートした。「メディアのズレを、肌で感じます・・・」地元紙の一面は当然のことながら、福島第一原発の汚染水の問題だ。既存のメディア(全国紙や東京キー局発のニュース)は被災地の情報をどれだけ伝えているのだろうか?地元の新聞、地元のテレビ、ラジオ。中央に届くことはそうそうない。
しかし。それでは、判断のしようがない。原発について、そして放射能について私たちは一体どこまで知っているのだろう。

情報がないから判断できない、と人は言う。しかし、そもそも私たちは情報にアクセスする努力をしているだろうか?自らの思い込みから、自分とは反対の意見を最初から排除していないだろうか?
世の中には様々な意見がある。当然のことだ。多様な意見に触れる場がないのだとしたら、作ればいい。そんな思いからこのサイトは出来た。多様な意見が交錯する場。そこで人々は社会の課題について考えるきっかけを得る。その先に何があるのか。

自ら考え、課題の解決のために、何事かを成し遂げようとするのか、しないのか・・・それはむろんその人次第なのだが、少なくとも、人が「考える」為の場を作る事。それが今は必要だと考えている。

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