[大平雅美]男性のGirl化は景気回復の兆し?女性よりも消費に貢献する「暖色化」する男性たち〜男性用ストール売り場を2倍に広げる百貨店まで
大平雅美(アナウンサー/大正大学客員准教授)
「共働きは男性の消費も喚起する」(‘14年1月17日日経新聞朝刊・Wの未来)都内百貨店のメンズ館では、全体の7割が妻を伴わない夫ら「自分買い」の男性客で、何と1日平均10万円を消費。これは女性の購入額の2倍だそうで、つまりは女性の社会進出が世帯所得を増やし日本の消費の枝葉を広げているということらしい。
そう思って周辺を見回してみると、外見に気を遣う男性が増えているのは間違いない。思い起こすと私が、“男性の外見磨き”に気が付いたのは2010年の春先だった。大学の授業で「男性のネイルサロン」の記事を紹介した。その時の新聞コピーは“手先キラキラ、闘う男を磨く”だった。
翌年には、厳しい就職戦線を少しでも優位に進めるため写真館でお化粧する“メーク就活男子”、さらに高額化粧品をつかう“お肌すべすべ営業マン”などが登場し、見出しコピーも“仕事バッチリ美肌系男子”“女性上司のハートもチャッチ”と闘う男はすでにいなくなっていた。
そう思うと男性の「lady化」、いや男性の「girl化」はかなり進んでいる。そして目下の私の注目は「ストール男子」。マフラーの愛用者は男性でも多いと思うが、この冬好調に売れているのは女性が使う印象が強い大判のストール。日経新聞の記事によるとカシミアなど高級素材や2万円以上する高額商品が好調で、中でもオレンジなどの暖色系が売れているらしい。
そこで仕事先の男性に尋ねてみたら
「いくつか持ってますよ。百貨店で明るい色が良いと勧められ言われるがままに買いました。ついでに暖色系の小物も…」
まさしく、“暖色ストール男子”。しかも提案されると追加買いする“消費貢献男子”ではないか!
調査していないのであくまで推察だが、男性客の方が店頭において“言われるがまま”率が高いのではないか。そして男性から度々耳にする声は「自分の選択に自信がないので販売員の方のセンスに任せる―」。つまり女性を伴わない「ひとり買い」の場合、1回の消費金額が高額になる理由はこのあたりにもありか!
さて東武百貨店池袋本店はこの冬の売上増に気を良くして、男性用の春夏物ストール売り場を2倍に広げて百種類近く揃えるそうである。江戸の昔から派手な色が野暮とされた東京、梅桜咲く頃に“暖色男子”が増えているだろうか。
「京阪の粋は紅梅にして、江戸の意気は白梅に比して可ならん」(喜田川守貞著『守貞漫稿』)
お江戸東京でも赤やオレンジ、ピンクなど暖色系をカッコよく身に着けた男性がもっと増えて欲しい。「今年の春は鮮やかな赤や濃いピンクの「ビビッドカラー」が女性に人気」(‘14.1.21日経新聞朝刊)だそうだが、さて男性はどうか?男性の外見磨きと日本の消費の芽はどこまで育つかに注目!
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