[安倍宏行]株式会社ノーブル・エイペックス代表取締役社長・大関綾氏〜21歳となった“女子高生起業家”の戦略
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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「飽くなき商品開発で、身の回りのものを、より自由に、よりお洒落に、より便利に!世界に通用する商品を作っていく。」
女子高生起業家として名を馳せた株式会社ノーブル・エイペックス代表取締役社長である大関綾さんもいつの間にか21歳。開口一番の発言は我々を驚かすに十分だった。
「去年主力商品をメンズからレディースに転向しました。それに関わる商品開発も終了したので、今年はとにかく商品を広めていく、販売やマーケティング全般に力を入れて行きたいな、と思っています。」(大関社長)
あれ? メンズのタイがもともと主力商品じゃ・・・いつの間に変わったの? なにせ、レディースを展開し始めたのは去年の7月とまだ6か月しか経っていない。かなり大きな方向転換である。狐につままれた気もちの私たちではあったが、
「枠組みを柔軟に変えることができるベンチャー企業だからこそスピードや方向転換が比較的容易である」(大関社長)
この説明に納得した。
柔軟なのは、レディースへの方向転換だけではない。新商品は、女子就活生向けだという。その第一弾が1月15日からオンラインショップにて取扱いが開始される。スーツに合わせ易い細身でシンプルな色味のネクタイタイプを通常のモデルよりも値段を抑えて展開する。何故、就活生なのか? 答えを聞いてまた納得した。若い時から自社の商品に慣れてもらいたい、というのだ。
当然といえば当然なのだが、「リクスー(リクルート・スーツ)の胸元が妙に寂しい」、という女子学生の声からすぐにこうした新商品を開発するスピードがベンチャーの真骨頂だ。実際に試着させていただいたところ、印象は大きく変わり、自分もシャキッと気持ちが引き締まった。ネクタイを女性が着用していけないというルールはない。
(セパレディ と スカーフタイプのセパレディSタイプ)
大勢のブラック・リクスーの群れの中で、誰が誰だかわからない。「面接の横並び化」の中で、この「セパレディ」と呼ばれるネックウェアはフォーマル度をアップするだけでなく、個性をさりげなくアピールできるアイテムとして、とてもユニークな商品だと思った。
(左・大関綾社長 右・試着しているJapan In-Depthインターンの工藤沙織)
(大関社長と安倍宏行編集長)
この就活生向け「セパレディ」も含め、商品コンセプトは全て大関社長のアイデアだという。どうしてこんなに次から次へとアイデアが湧いてくるのだろうか。
「他の経営者の方とお会いすると色々とアイデアを持ってきてくださるので、それに対応するためには私自身も常に考えていることが大事ですね。夢の中で考えていることもしょっちゅうです。自分が好きなことであるから考え続けていられるというのもありますね。好きなことだから苦にならない。」(大関社長)
“好きなことを仕事にする”人が増えていると思う。しかし一方で、その理想を実現しようにも自分の好きなこと、やりたいこと自体がわからなくなってしまう人もいる。社会人より遙かに自由な時間の多い学生へ向けて、アドバイスを伺った。
「様々な学生と会う中で感じることは、学生の二極化ですね。ベンチャー企業でインターンをして就業経験を積んだり、学生団体に所属している学生は起業家の存在が身近にあるのに対し、仲の良い友人と飲んで遊んで、を繰り返している全く世界の違うところにいる学生が大多数存在するのも事実です。学生の間は社会人よりも自由な時間が多いと思うので、バイトやインターンでも、とにかく色々な経験をして沢山の人に会って刺激を受けて自分で考えることが大事かと思います。」(大関社長)
沢山の人に出会うというと頭をよぎるのは人脈づくりや一度に大勢の人と出会うことのできる異業種交流会などであるが、大関社長は普段人脈づくりや情報収集の為にどの様なことに気を付けているのだろうか。
「私は若い経営者やベンチャー企業の集まりには基本的に顔を出したことはありませんね。人脈を広げるために交流会などに参加したこともほぼありません。人脈って人によって捉え方が違いますよね。一度会っただけとか、SNSで繋がっているだけで知り合いだという人もいますしね。私は親密に関わるのが人脈と思っているので、お互いがGive&Giveであることも重要だと思っています。 私が起業したときに気を付けていたことは、経験も沢山ある年配の経営者の側にいさせていただいて日々を過ごしていたことですね。あとは若い人の特権だと思うのですが、年配の経営者の方達といると若いというだけで応援してくれて次のアクションに繋がるような人を紹介してくれますね。
あとは「群れない」ことも大事かもしれません。(何故)若い経営者たちとそこまで親密にしてこなかったというと、彼らと一緒にいると居心地がとても良く、どうしても自分に甘えが出てきてしまうんです。一方年配の経営者と一緒にいさせていただくと沢山ご指導もいただきますし、正直キツイ。でも甘えないという意味で彼らと一緒にいたというのはすごく成長できた要因ではないかと思います。あと“自分がこういうことがしたい!”と宣言し続けていると不意に人を紹介してもらえますよ。自分の実現したいことを積極的に伝えることを心掛けていましたね。」(大関社長)
辛いけれどもいつでも自分の成長を見越し、考え、実践してきたからこそ、今の大関社長がいるのだろう。将来どのような会社にしてゆきたいかを尋ねたところ、大関社長ならばきっと実現するだろう答えが返ってきた。
「私達の会社はネックウェア屋さんではなくて、今までに世の中になかった画期的な商品を売り出していくというのが根本にあるので、おそらく数年後にはネックウェアとは離れた商品を展開していると思います。身の回りのものをより自由によりお洒落により便利にして、世界に通用する商品を作ってゆきたい。」(大関社長)
インタビューに参加したインターン・工藤沙織と同い年の21歳。どこまでもスケールの大きい経営者である。
株式会社ノーブル・エイペックス 代表取締役社長
1992年生まれ。21歳。17歳で株式会社ノーブル・エイペックスを設立。 小学生のころから実業家に憧れ、中学3年生、14歳でかながわビジネスオーディションに出場。2冠に輝き最年少記録を樹立。使い勝手が良く、且つお洒落な“ノーブルタイ”の開発・製造・販売を通してネックウェアの新しい在り方を提案している。2014年サンマーク出版より書籍出版予定。
【就活生用のセパレディ専用ページ】http://ayaohzeki.com/recruit.htm
【文責】工藤沙織(Japan In-Depth インターン):法政大学グローバル教養学部4年次休学中。休学中エシカルジュエリーHASUNAにて6ヵ月広報アシスタントしてフルタイムインターンを経験。2013年12月より、Japan In Depthの学生インターンを開始。いかに対話を通して話を引き出すことが出来るか、日々奮闘中。人生における姿勢は「常に凛とし自然体であること」
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