皇室典範の改正が必要 細野豪志衆院議員
「細川珠生のモーニングトーク」2017年2月4日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
2016年夏に天皇自身が「お気持ち」を表明したことによって天皇の「生前退位」について、国民の関心が高まっている。「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が設置され、先月23日には「論点整理」が出された。今国会でも議論が始まり、与党は今上天皇のみの生前退位、つまり一代限りの特例法を考えているが野党は反対している。政治ジャーナリスト細川珠生氏が、この問題について民進党代表代行の細野豪志衆議院議員に話を聞いた。
まず、「有識者会議の議論を聞いていると、初めから結論ありきで一代限りの特例法ですませてしまおうという色が非常に濃かったので、これはまずいと思った。」と細野氏は述べた。その上で、「陛下が夏の会見でおっしゃったのは、ご高齢になられたので疲れたのでやめさせてほしいと言っているのではない。陛下としての役割をすることが難しくなる。」と仰られていると述べた。
細野氏によると今上天皇は、国民に寄り添って行動するという、存在すること以上の大切な役割を担った天皇像を作ってこられたという。「それを継続するためには、高齢になった場合に譲位が可能な仕組みにする必要があるというのが陛下のお考えだった。」と細野氏は天皇の「お気持ち」についての考えを述べた。その「お気持ち」に添うには、「一代限りの特例法ではなくて、きちんと皇室典範を変えて、そこに制度として譲位可能な仕組みを導入する」ことが必要だという。
具体的には:
・陛下のご意思を確認する。
・皇室会議で承認をする。
・後嗣が成人になっている。
などの条件が担保されることが重要だとの考えを強調した。
細川氏は、「譲位を皇室典範で認める、譲位が可能になるという制度を作ること自体が問題だと考えている人たちがいる。」と指摘、それについて細野氏の考えを聞いた。細野氏はそれに対し、「限られた人達だと思うが、そういう人が持っている天皇像と国民が理解している天皇像の間に開きがある。」と指摘した。前者は、天皇は祈りをささげている存在であればいい、と考えている人たちで、後者特に若い人たちは、東日本大震災の時にご苦労され、被災者の言葉をお聞きになった。陛下として有難いことをやって頂いた。」と述べ、多くの国民は後者の天皇像を理解している、との考えを示した。「国民の理解にできるだけ沿う形で天皇制度自体を継続していくことを考えれば、選択としては制度として位置付ける以外にないのでは。」と皇室典範の改正が必要との考えを強調した。
また、憲法2条「皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」にも言及。与党が進める特例法であれば、次の天皇の存在そのものが違憲になる可能性があると細野氏は指摘した。そのためにも、皇室典範の改正は避けて通れない、とし「国会で全会一致の姿で、議員立法か政府提出法案なのか形は問わないが、国会の総意という形で実現すれば一番望ましい。」と述べた。
また、細野氏は女性宮家の必要性も主張している。現在、皇位継承者としては皇太子殿下、秋篠宮殿下、秋篠宮の悠仁親王と3人いらっしゃるが、「悠仁親王に男の子がお生まれになかったら皇位継承者が途絶え、皇統断絶になる。」と危惧し、そのうえで「いろんなリスクに備えて、いろいろな形で準備だけはしておいた方がいいと思う。」と思い、女性宮家の早期の創設を主張した。
細川氏もこの問題を今国会の最重要課題、と位置付けていて、「国民の総意である天皇陛下なので、国民がこの問題を真剣に考えるいい機会にすべき。」と述べた。
(この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2016年2月4日放送の内容を要約したものです)
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