.社会  投稿日:2017/8/27

アニマル・ウェルフェアを考える クリステル財団イベント

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Japan In-depth編集部(坪井映里香)

 8月27日、東京都文京区の東京大学にて「アニマル・ウェルフェアサミット2017」が行われた。一般社団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルが主催し、今回が去年に続き第二回となる。

 このサミットの目的は「アニマル・ウェルフェア(人間の管理下にある動物が、基本的なニーズを満たして生きる環境を整えること)」について考える、というもの。ペットを飼っている人中心に、30代から50代、親子連れも含め多くの人が来場した。日曜日である27日は、10時のオープニングを皮切りに、音楽劇や映画上映会など、ファミリー向けのイベントが多く行われた。

 保護犬や保護猫を飼う予定のある人を対象に「保護犬・保護猫と暮らそう」というテーマでトークショーが行われた。料理研究家で元衆議院議員の藤野真紀子氏、女優のとよた真帆氏、横浜商科大学の岩倉由貴准教授が登壇。保護犬・保護猫に関する実態調査も交えて、保護犬・保護猫を飼っている経験を語った。

 保護犬や保護猫を飼っていない人の8割以上が保護施設から引き取りができることを知っているにもかかわらず、なかなか引き取りが増えないのは、「条件が厳しいというイメージがあることが、引き取りが進まない理由の一つではないか。」と調査を行った岩倉准教授は分析した。

 これに対しとよた氏は、保護施設のHP等で厳しい条件が提示されている理由について、「(飼うということを)軽く考えている人がいるから」と、条件設定の実情を述べたうえで、団体によって条件が異なることを紹介した。藤野氏、とよた氏らは、経験談を踏まえつつ保護犬・保護猫を飼うことに対する社会の理解が進むことに期待を示した。

 

 午後から、作家で脚本家、画家でもある大宮エリー氏が、主催団体の代表である滝川クリステル氏の進行のもと、“ライブペインティング”を行った。テーマは「動物との共生」。音楽に身を委ねながら数メートル四方のキャンバスに自由に絵を描いていく大宮氏。会場とのやり取りの中で決まったテーマは「キリン」。会場の子どもたちがキャンパスを空色に染めていくと、そこに大宮氏が黄色や茶色を加えていく。観客はどんどん印象が変わっていくキャンバスに目がくぎ付けに。完成したときは会場から大きな歓声が上がった。

 

 その後行われたトークショーには、株式会社ほぼ日代表取締役の糸井重里氏と滝川クリステル氏が登壇。糸井氏は、アニマル・ウェルフェアについて最近まで知らなかったと話すが、これまで動物愛護団体の活動への支援や、犬や猫と仲良くなる写真投稿アプリ「ドコノコ」の開発等、精力的に動物にかかわっている。

糸井氏は、ペット本等に普通に書いてある「いつでも清潔な水を与えてください」という言葉が、アニマル・ウェルフェアの基準「5つの自由」(注1)を示している、と述べたうえで、この言葉について今一度考えてみてほしい、と会場の参加者に訴えた。

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 この日の最後、滝川クリステル氏による小池百合子都知事の特別インタビューが行われた。小池都知事は昨年のアニマル・ウェルフェアサミットにおいて、自らが公約として掲げた動物殺処分0の2020年までの達成を宣言した。それより早く2016年、東京都は犬の殺処分0を早々に達成し、猫の殺処分は前年に比べ半分に減らしたという。

 今後、現在94匹の猫の殺処分を0にするために力を入れていく、と小池知事は述べ、猫殺処分0を維持している千代田区を参考に、「里親を見つける活動に対し様々な支援をしている。」と述べた。

 また、各所の東京都の動物愛護センターの老朽化を問題視し、「新しい施設は、ドッグランなどいろいろ充実させ、そこが動物の出会いの場になったり、子どもたちの学びの場になったり“動物愛護の中心地”になればいい。」と述べ、「処分をしない施設」を建設する考えを示した。

 2016年に達成した犬殺処分0に対する反響について滝川氏が質問すると、「1つずつ約束したことは守っていくということで、今は猫ちゃん94匹という不名誉な数字を減らしていく。」と改めて強調した。最後に滝川氏が「動物と人が共に生きやすい東京」になるために必要なことは何か、と小池都知事に聞くと、「滝川さんにがんばってもらうこと。」と答え、会場の笑いを誘った。

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 昨年に引き続いての参加となった小池都知事だが今年の登壇時間はわずか8分強。小池新党などの動きが進む中、多くのメディアが集まったが、質問の時間は設けられず。次の予定があるとのことで足早に去っていく小池氏の後ろ姿に記者たちのため息が漏れていた。

 

アニマル・ウェルフェアサミット2017は、明日8月28日月曜日も開催。2日目のサブテーマは「日本が目指すアニマル・ウェルフェア」。「殺処分問題に取り組む行政」や「動物愛護管理法の現状と未来」、「ペットショップの過去、現在、そして未来」などの分科会が予定されている。当事者である行政機関や国会議員らが登壇する。

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  • 日程:2017年8月27日(日)、8月28日(月)
  • 開催時間:10:00〜17:00
  • 開催場所:東京大学弥生講堂、弥生講堂アネックス、他
  • 入場料:無料(資料代等、一部有料のプログラム有り)
  • 参加方法:事前申し込み制
  • 公式サイト:アニマルウェルフェアサミット2017

 

注1)アニマル・ウェルフェアの基準「5つの自由」

イギリスで提唱されたアニマル・ウェルフェアの国際的基準

1、飢え・渇きからの自由

2、不快からの自由

3、痛み・負傷・病気からの自由

4、本来の行動がとれる自由

5、恐怖・抑圧からの自由

 

写真:©Japan In-depth 編集部

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