[磯村かのん]<動物遺棄の現状>年間16万匹の犬猫が殺処分される日本。永眠までケアするスイス。
磯村かのん(ライター・通訳・起業家)
スイスのジュネーブ郊外で暮らしていた頃、猫を飼いたくなり動物愛護センターに行ったことがあります。道を間違えたんじゃないかと不安になるくらい人気のない山道を車で20分走ったのち、大自然に囲まれた森の中に保護センターはぽつんと佇んでいました。
その中にはたくさんの大きな檻があり、猫達はその中で居心地良さそうにまどろみ、センターの人が犬を森の中で散歩させていたのが印象的でした。 その日、里親を探していた犬猫の数はたったの8匹でみんな10歳以上。動物が高齢であることと、保護を必要としている動物の数が少ないことに驚いたのを覚えています。
スイスでは動物の殺処分は禁止されているので、動物愛護センターでは動物を殺さずに辛抱強く里親を探し、里親が見つからない場合は永眠するまで面倒をみるのです。 また、スイスのペットショップで犬猫の売買は禁止されているので、ショップでは餌や首輪などのペットグッズのみが売られています。犬猫は政府の認可を受けたブリーダーのみ販売可能で、責任を持って売れる数だけ動物を繁殖させるよう規制されています。
日本の動物愛護センターによると、平成24年に殺処分された犬猫の数は年間16万匹にも上ります(注1)。ナチス・ドイツを連想させる小さな密閉された部屋に動物を入れ、炭酸ガスで窒息死させるのが一般的です(注2)。
平成24年に引き取られた犬猫の数は約20万匹で、そのうちの約5万匹は飼い主の飼育放棄です(注1)。六本木や新宿の繁華街で深夜まで営業をしているペットショップに酔っ払いが入っていくのを目にするたびに、この人は本当に責任をもって飼育できるのかなと心が痛みます。
人間に笑顔と愛情をもたらしてくれる可愛いペット。ペットの飼育放棄をお考えの方と、これからペットを飼う方には「殺処分の現実(協力:愛媛県動物愛護センター)※閲覧注意」を見てから放棄や購入を考えてみてはいかがでしょう?
(注1)犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(平成24年度)
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