[磯村かのん]【一晩一億円動くクラブビジネス】その2~享楽の極み:スペイン・イビザ島の真の魅力とは?~
磯村かのん(ライター・通訳・起業家)「かのんのTruly Global」
日本でも認知度が上がりつつあるスペインのイビサ島はヨーロッパのクラブ・カルチャーの中心地をして知られ、世界中からクラブイベントやビーチパーティーを目当てに訪れる観光客が大半を占めるという、ちょっと変わった地中海の島です。
イビサ島の近くにはコルシカ島、サルディーニャ島、マルタ島、シチリア島など島はいくつかありますが、なぜイビサ島はパーティー・ピープルを魅了し続けているのでしょうか?
まず、ハリウッドスター、有名サッカー選手、F1ドライバー、スーパーモデルなどのセレブがイビサでパーティーをするので、メディアの影響により、彼らのように派手に遊びたいと憧れる人々が集ります。また、世界的に有名なDJがコンサート会場のように大きなクラブでパーティーを行うので、それを目当てに多くの人が訪れます。
イビサではクラブイベントを中心とした観光業が島の主要な産業なので、島全体でパーティー・ピープルを受け入れる体制ができていることも人気の一つです。観光地のホテルではクラブのイベント情報をカレンダー形式で無料配布し、ホテルのフロントやカフェで主なクラブの入場券の購入ができます。レストランやバーも充実していて、観光客はクラブに行く前にバーを梯子してイベント情報を仕入れたり、カクテルなどを飲んで気分を盛り上げてから行くのが定番です。
また、幅広い層に受ける様々なイベントが用意されている事も人気の理由です。6,000人から10,000人収容できる大きなクラブが5つあり、世界的に有名なDJが日替わりで、どんちゃん騒ぎをして踊りまくるようなアッパーなElectronic Dance Music(EDM)のイベントから、音楽通も満足する良質なTechnoやHouse Musicのイベントもあります。
また、40代以上の大人向けの、芸術的なキャバレー・ショーを見ながらディナーをするというような、観光客を飽きさせない多数のイベントが毎日開催されています。巨大クラブ以外にも中規模なクラブ、レストラン、ラウンジ・バー、お洒落な海の家なども充実しています。
そして、イビサではありとあらゆる薬物が出回っているので、日常を忘れて思いっきり弾けたいというドラッグ目当ての観光客が多い事も事実です。
観光地やクラブ近くの路上では売人が通りすがりに「マリワナ、コカイン、ヘロイン、MDMA・・・」と観光客に声を掛けてくるので、誰でも簡単にドラッグを入手することができます。なぜこのようなことが可能かといえば、スペインの法律ではドラッグの販売は違法ですが、自宅などの私的な場でのドラッグの個人使用と個人使用分を所持することは犯罪ではないのです。
ただ、クラブなどの公的な場でのドラッグ使用は処罰の対象となります。罰金は約4万円から4百万円ですが、薬物更生プログラムを受ければ罰金免除になるというかなり緩い法律(注1)があるので、クラブ内でも完全に禁止するのは難しいようです。
なんといってもイビサ島の魅力は解放的で自由な雰囲気です。遊びを極めた真の遊び人は極限まで遊べ、パーティーに飽きたら島を取り囲む60以上の美しいビーチで自然と戯れることができます。クリスタルのよう澄んだ海で泳ぐもよし、クラブで享楽にふけるもよしというように、観光客の様々なニーズに対応できる所がイビサの真の魅力なのです。
(注1)
The European Monitoring Centre for Drugs and Drug Addiction (EMCDDA)
「Drug use and possession」
http://www.emcdda.europa.eu/html.cfm/index5174EN.html?pluginMethod=eldd.countryprofiles&country=ES
編集部注)この記事は、イビザにおいて薬物使用を推奨するものではありません。薬物使用は現地ではあくまで違法です。
【あわせて読みたい】
[磯村かのん]【一晩一億円動くクラブビジネス】~スペイン・イビザ島の1万人収容超弩級巨大クラブ~
[磯村かのん]<スペイン・イビサ島の魅力>世界中のセレブとパーティー・ピープルを魅了するその秘密とは?
<90年代のテクノ・ブームが再燃?>ポイズン・ガールフレンドが20年ぶりのニューアルバム
[相川梨絵]【美しい南の島に残る戦争の爪あと】~バヌアツ・サント島の自然はすべてを浄化していた~
[磯村かのん]風営法がクラブを規制する「ダンス=男女の享楽的雰囲気を過度に醸成させる」って何?〜欧米トップDJが年収46億円を稼ぐクラブビジネスも、日本では非合法?!