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.経済  投稿日:2014/7/15

[安倍宏行]<ウィメノミクスには男性が不可欠?>役職管理職に就く女性10.6%を2020年までに30%へ


安倍宏行(ジャーナリスト)

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国際女性ビジネス会議あり、UZUの学校あり、女性が集って議論するセミナーというのは結構あるが、男性限定セミナーというのは聞いたことがない。

株式会社イーウーマンの佐々木かをり社長は、20年くらい前は働く女性が色んな人と異業種交流する機会が皆無だったので、周りの女性数名とセミナーを始めた、と言っていた。

筆者が某自動車メーカーに勤めていた28年前、男女雇用機会均等法が施行され、女性の管理職を増やそう、という機運が高まったことがあった。私の1年前入社の優秀な人事部出身の女性がまず候補となって、実際に課長になったが、同期の男性社員からは逆差別だ、との声が上がった。あれから四半世紀以上経ったが、現状はどうか?

明治安田生命生活福祉研究所の調べによると、20代から40代の男女3616人を対象にインターネット上でアンケート調査を行ったところ、「妻は専業主婦が良い」と考える男性が39.3%、女性が43.0%に上った。又、「子供が小さいうちは、妻は育児に専念すべきだ」と考える人は、男性64.4%、女性70.9%だったという。(注1)

無論、一つのアンケート結果だけですべて判断できるわけでもないが、気になる数字ではある。では、日本の役職管理職に占める女性の割合はどうかというと、民間企業の係長相当15.3%、課長相当8.1%、部長相当6.1%にすぎない。(注2)内閣府・男女共同参画推進連携会議の調べで、国際比較を見ると、管理的職業従事者における女性比率は、フィリピンが一番で54.8%、アメリカ42.7%、フランス38.5%、ドイツ37.8%、オーストラリア36.7%、イギリス34.6%、スウェーデン32.3%、ノルウェー31.3%に対し、日本は10.6%にとどまっている。

こうした中で、政府は2020年に指導的地位(注3)に占める女性の割合を30%とする目標を掲げている。これに呼応して大企業が女性管理職登用に動き出しているのは悪いことではない。しかし、先のアンケートを見ると、政府の掛け声とは裏腹に、日本の社会全体が、本当に女性が社会で働くことに肯定的なのか、考えてしまう。まずは、女性が社会で活躍することは人口減少に歯止めをかけるだけでなく、経済成長にも寄与する、という認識を社会全体が共有することが先決だろう。

その上でまずは、女性が結婚、出産、子育てをしやすい職場環境を整備しなければならない。現状では、女性が子育てしながら男性並みに仕事をするのは厳しい職場環境である場合が多い。それを改善しない限り、女性管理職を増やすことなぞ夢のまた夢である。

同時に、男性側の意識改革が不可欠だ。これが一番の難関だ。冒頭述べた、女性主体のセミナーや会議には、主催者側も男性を呼び込むとともに、男性も積極的に参加してもらいたい。男性もこの問題を考えるセミナーなど開催したらよい。もちろん女性を呼び込んで、だ。社会の認識が変わらない限り、政府の掛け声は空振りに終わるだろう。

女性が生き生きと活躍できる社会は、男性にとっても働きやすい社会であると筆者は思う。家事、育児、介護を女性任せにしている社会に成長はないとすら思っている。賛否両論あろうが、政府目標に冷笑を浮かべているだけでは何も変わらない。

  • (注1) 明治安田福祉研究所「20代〜40代の恋愛と結婚―第8回結婚・出産に関する調査よりー」|http://www.myilw.co.jp/life/enquete/pdf/26_01.pdf
  • (注2)内閣府調べ 平成23年度|http://www.gender.go.jp/whitepaper/h24/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-03-12.html
  • (注3) 指導的地位・・① 国会議員 ② 法人・団体等における課長相当職以上のもの ③ 専門邸・技術的な職業のうち特に専門性の高い職業に従事する者

 

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