[瀬尾温知]【J1昇格プレーオフを100倍楽しむ法】~名付けて「残留・昇格プレーオフ」~
瀬尾温知(スポーツライター)
「瀬尾温知のMais um・マイズゥン」(ポルトガル語でOne moreという意味)
Jリーグの2014シーズンが終了した。大雪で中止になった新潟対柏の最終節(8日に代替開催)がこの原稿を書いている現段階で終わっていないので、両チームのサポーターにとっては未了ではあろうが。
J1昇格プレーオフはJ2で6位だった山形が4位の磐田と3位の千葉を破り、4シーズンぶりのJ1復帰を決めた。優勝した湘南と2位松本山雅の自動昇格のチームとともに来季はJ1でシーズンを過ごすことになる。2012年から導入されたJ1昇格プレーオフは今年で3年目となったが、これはおもしろい。
高いレベルのリーグで脚光を浴びながら1年を通して戦うことになるのか。それとも再び下位リーグに甘んじ、さほど衆目を集めることもなくもう1年を過ごさなければならないのか。図式が明瞭で、Do or dieの戦いの原点がある。スポーツの試合がおもしろいものになるのに、試合内容やプレーの質の云々が筆頭でないことがよくわかる。選手・監督・チーム関係者・サポーターなどの意気込みや馳せる思いから湧き出る闘う姿こそが観る者を惹きつけるのだろう。
このプレーオフを一層おもしろくする方法がある。現行方式は3位から6位の4チームに出場権がある。それを5位までの3チームに減らす。一方のJ1は16位、17位、18位の下位3チームが自動降格だが、それを下位2チームだけにして、16位に加え15位のチームが入れ替え戦に回る。
まず、J2の4位と5位が対戦し、勝者がJ1の15位と入れ替え戦を行う。J2の3位はJ1の16位と対戦し、それぞれの勝者が翌シーズンのJ1チームとなる。名付けて「残留・昇格プレーオフ」。現行方式と試合数は同じになる。J2の6位も参戦させて1試合増やしてもいいだろう。
これを今年に当てはめると(J2の5位だったもののJ1ライセンスがない北九州は除す)、磐田に勝った山形×清水。千葉×大宮となる。一発勝負でJ1チームのホーム開催。引き分けならJ1のチームが残留でもいいし、引き分けなしでPK戦決着もまたよし。これだと、「今年はJ2が2チームともプレーオフを制した」とか、「やはりJ1の壁は厚かった」というようなことになる。
J1のチームが重みのある一発勝負の試合を経験しておけば、いつかACL・アジアチャンピオンズリーグで役立つこともあろう。
プレーオフに3年連続で出場しながら昇格を逃し続けている千葉にとっては、一段と壁が高くなるという不平が聞こえてきそうなものだが、プレーオフを嗜(たしな)む皆さん、いかがであろうか。
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