[為末大学]【スポーツ団体は何故変わらないのか】~スポーツ協会に必要な“経営”という思想~
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
内閣府が認めた公益法人で、ここ数年で警告を出した5団体の全てがスポーツ団体だという。テコンドー界が別で新しい団体を作り、バスケット界は自力での統合を諦めた。スポーツ界の問題は協会の問題に集約されつつある。
スポーツ協会の理事を見てみても、多くの場合は元その競技のアスリートだった人がなる。サッカー連盟のように外から招くところもあるにはあるが、ほとんどは競技内で人事を行う。逆に言えば、その競技内で探してこれる人の限界値がその競技の限界値になる。
将来は協会がガラッと変わり、Cクラス専門の人材紹介会社と組んでいい人材を探すということもあるえるかもしれないが、今のところは難しい。となるとしばらくは内部の人材発掘、育成をするしかない。この場合は競技の能力ではなく、リーダーとして、ビジネスマンとしての発掘、育成になる。引退した選手の研修は海外の競技現場に派遣されるが、MBAを取得させる仕組みはない。現場では技術とコーチングは学べるが、マネジメントは学べない。
スポーツの問題は人に集約される。競技力向上は世界でも負けないレベルにきている。問題は、資金調達、ファイナンス、ガバナンス、コンプライアンス、つまりは経営をどうするかが課題として立ちはだかっている。スポーツは教育ではなくなった。これをまず理解できるかどうか。
スポーツの問題を解決できる人は限られている。その限られた人の意識が変わるかどうかがスポーツの未来を決める。本人が好む好まざるに関わらず、そういう人には期待がかかる。スポーツをやる子供達の未来がその限られた人たちの意識と能力にかかっている。
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