[Japan In-depth編集部]【長妻、細野、岡田3候補、若者の支持別れる】~民主党代表選、若者集会~
民主党代表選(18日投開票)、真っ只中の13日午前、立候補した長妻元厚生労働相、細野元幹事長、岡田代表代行の3人と若者との対話集会が東京千代田区の民主党の党本部で行われた。
集まったのは大学生中心に30名弱、厳しい意見が相次いだ。口火を切った女子大生は、高齢者と若者の間の不公平感について言及、「高齢者の年金や医療を大幅にカットし、若者の負担を減らして欲しい。」とズバリ、高齢者の既得権に切り込むべきだ、と迫った。
城西大学現代政策学部3年 阿部由佳さん
これに対し、細野氏は、「豊かな高齢者に負担をしてもらわないといけない。」と述べ、世代間の平等化を確保する考えを示した。岡田氏は、世代間格差について「高齢者の中にも格差はある。余裕ある高齢者には年金減額などで負担してもらう。」と述べた。長妻氏は、「お年寄りはけしからん、という対立は良くない。親の年金が充実しているから子供は仕送りをしなくてすむ、ということもある。」と指摘、「年金扶養の社会化」との表現を用い、広く社会で負担すべきとの考えを示した。
一方、男子学生は、民主党の安全保障政策に対し、「平和をしっかり担える政党じゃないと。」と注文を付けた。これに対し、岡田氏は、「中国、韓国嫌う人多いが、米中は対話を深くやっている。粘り強くしたたかにやっていく。」と中韓との対話を重視する考えを明らかにした。長妻氏は、「集団的自衛権だと、地球の裏側まで行く、ということになる。70年前の戦争の体験に学ばねばならない。」と述べ、慎重な考えを示す一方で、「仏独のように若者交流を、日韓でもやりたい。」との考えを示した。
又、別の男子学生は、若者の低投票率に触れ、「こういう場所に来ていない人にどう(民主党の考えを)伝えようとしているのか。」と質問した。細野氏は、これに対して「電子投票とか(採用して)、投票しやすくする。又、大学とかで投票できるようにする、という考えもある。」とインターネット選挙を一段と進める考えを示した。長妻氏は、国会議員の中で女性議員の数を一定比率決める、いわゆる“クォータ制”が必要との考えを示し、「日本は女性議員の比率が少ない。大胆にやっていかねばならない。」と述べた。
多くの女子学生からは、女性は結婚、育児などを考えて仕事を選んでいるのが現状であり、女性が活躍できる社会が出来るといい、との意見が多く聞かれた。これに対し岡田氏は「女性の力は活用できていない。仕事と子育て両立する社会作るため、消費増税の一部をその予算に充てるよう決めたのは民主党だ。(長時間労働という)日本の働き方を変えねばならない。」と述べ、仕事に対する意識改革の重要性を強調した。
対話終了後、学生にどの候補を支持するか聞いてみると、三人に割れ、誰か一人が突出している印象はなかった。自分たちと世代が近いということで細野氏を支持する学生がいる一方、岡田氏の安定を評価する声もあった。一方で、長妻氏を支持するという女子学生の意見を聞くと、「岡田氏は最初に細野氏の発言の暴露を行い、怖いと思った。細野氏は若さの勢い任せの印象がある。」と辛口の意見を展開、長妻氏に対しては「党首になった時の姿が一番想像できる。話も具体性があった。」と評価した。
メディアのインタビューを受ける学生
メディアの情勢分析では、現時点(13日午前)で3候補とも国会議員票で優位に立っているとは言えないようで、地方票(16日必着)の動向がポイントになりそうだ。3候補は17日神戸でまた集会を予定している。
参考)民主党代表選
国会議員264ポイント、国政選挙公認予定者1ポイント、地方議員141ポイント、党員・サポーター354ポイントの計760ポイントで争われる。
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