[清谷信一]【続報】「皆様のNHK」の誠意に疑問①〜問題が発生したら無視を決め込む公共放送は許されるのか
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
[①|②]
既に過去の記事で報じたように、筆者は防衛省の大臣記者会見後、記者クラブ会員でNHK政治部の鈴木徹也(てつなり)記者、から「個人的な質問をするな」と罵倒された。これは全く事実無根であり、要は自分たちと異なる質問をするな、との非記者クラブ会員である筆者に対する圧力であると感じた。
しかも鈴木記者は筆者が発言の真意を尋ねると「ひとりごと」だと言い、所属や氏名を尋ねると脱兎のことごく逃げ出した。とても公的報道機関であるNHKの記者とは思えない所業だった。記者以前、社会人として失格だろう。それともそれほどNHKの記者様は偉いのだろうか?
筆者はこの件でNHKに抗議した。当初NHKのホームページからコンタクト先を広報のコンタクト先をさがしたのだが、NHKのHPには広報の連絡先も代表の電話番号も掲載されていなかった。そこで仕方なく視聴者向けの電話番号に連絡した。ところがいくらこの件が、NHKによる他の媒体へ問題行為であると説明しても、対応に出たヤマモトと称する人物は頑として広報や報道局に話を繋げなかった。後日連絡をするといったが連絡はなかった。
NHKはこの問題を有働由美子アナの脇の下の汗ジミが見苦しい、といった視聴者からの苦情と同じレベルの話しであると認識しているということだ。だがこれはNHK記者による「他の報道機関」に対する嫌がらせであり、取材妨害だ。これがフジテレビや週刊文春の抗議だったら、同様の扱いをしただろうか。筆者はフリーランスの記者として防衛省の記者会見に参加しているのではない。
筆者は香港に所在するカナダの企業、KANWA Information Center(KIC)の顧問であり、その日本代表として防衛省の記者会見に出席している。同社は英語および中国語の軍事専門誌を発行するなどしており、多くの軍やインテリジェント、軍事産業関係者が講読している。また各国の軍関係者からの接触もある。
KICは特に中国、インド、ロシア関連の先端軍事情報に強い媒体で過去多くのスクープを多く出しており、NHKを始め多くのメディアがこれを引用している。発行者である平可夫(ピンコフ)こと、アンドレィ・チャンは同様に多くのメディアのインタビューにも応じている。彼は中国語(北京語・広東語)英語、ロシア語に堪能だが、日本語も堪能であり、日本のメディアからの取材には日本語で対応している。NHKの香港支局もしばしばかれの取材を行っている。
また筆者もフリーランスの軍事ジャーナリストして、過去何度もNHKの取材に応じている。ことに昨年の陸自のUHX(次期多用途ヘリ)やかつての守屋武昌(元・防衛事務次官)のスキャンダルなどでは他の新聞やテレビ局に対して対応したのと同様に何時間も背景説明から行ってきた。
これらのインタビューやレクチャーは金銭的な見返りがあまりなく、殆どボランティアのようなものであるだが、マスメディアが報道することにより、より多くの納税者に実体を知って貰いたいという思いから引き受けてきた。あくまで厚意で取材を受けているのだ。因みにアメリカのコンサルタントならば1時間500ドルは払ってくれる。
KANWAとしても筆者個人としてもNHKと全く接点が無いわけではないのだ。普段から協力を要請しておいで、問題があったら無視を決め込むというのはマスメディアとして、また公共放送として許されるのだろうか。
[②へ続く]
【あわせて読みたい】
- 『記者クラブ』というシステム〜防衛省大臣記者会見後で非記者クラブ会員に圧力をかけるNHK記者の存在
- 【特集*メディアの使い方】山本太郎、ほこ×たて、リベンジポルノ、SNS、ネット選挙…今だから言いたい!メディアの使い方
- 口コミサイトにクチコミは反映されない?真実の行方はどこに?
- “報道ヘリ”が象徴する大手メディアの問題点〜災害救助の弊害と匿名の無責任体制
- 自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?