.政治  投稿日:2013/11/6

[清谷信一]『記者クラブ』というシステム〜防衛省大臣記者会見後で非記者クラブ会員に圧力をかけるNHK記者の存在①

gazou064
Pocket

清谷信一(軍事ジャーナリスト)

執筆記事プロフィールWebsiteTwitter

[②へ続く]

 

10月11日、筆者は防衛省で行われた小野寺防衛大臣の記者会見に参加し、特定機密保護法に関する質問を行った。その直後、筆者は防衛記者クラブの所属記者と思われる人物から「記者会見で個人的な質問をするな」と言葉を投げかけられた。

筆者は彼の発言の真意を正すと、「独り言」だとうそぶいた。面と向かって発言しておいて「独り言」はあるまい。しかもその後、所属と氏名を尋ねると脱兎のごとくに逃げ出した。彼はその後控え室に戻ってきたので再び質すと、またも走って逃げ去った。

筆者の質問は防衛省のHPでも公開されているが、具体例として個人の取材経験に基づく話を紹介してはいるが、個人的な質問をたわけではない。

【当日の記者会見概要】はコチラ

この件は本サイトでも記事にしているが、筆者の質問のキモは防衛省の情報開示が民主国家として異常なほど過度の秘密主義である。現状で特定機密保護法が成立すれば、より事態が悪化することは無いかということだ。この手も問題で抽象論をいっても抽象的な答えしか返ってこない。それでは質問する意味が無い。だから顕著な例として陸幕装備部が作成した拙著の「正誤表」を実例としてあげた。

筆者はこの「正誤表」の一部を入手したが、ウィキペディアあたりを参照にしたであろう思われ、間違いだらけの代物だった。「正誤表」ではなく正しい記述を誤っているとした「誤正表」だった。中には防衛大綱に沿った記述まで「個人的な意見で評価できない」など述べている。

筆者が指摘したところ陸幕装備は記述のほとんどが誤りであると認めた。だが全文の開示を拒んできた。このような機密でもなんでもない、ネット情報を元にした書類を陸幕は開示できないと主張したのだ。筆者はこれでいいのですかと、大臣に尋ねたのだ。

またこのようなデタラメな文書が作成されている背景には、どうせ外部に開示されることがない、見るのは「身内だけ」だと、高をくくっていることが挙げられる。外部の目が届かない組織はモラルハザードを起して腐敗するのが常である。これも過度な情報秘匿の害である。

このような状態が続けば状況は更に悪化するだろう。大臣の受けている説明の資料がこのようにウィキペディアや2ちゃんねると思われる根拠をもとに作成されている可能性があるのだ。さらに言えば、我々ジャーナリストがソースがウィキペディア程度の防衛省の内部資料を暴露しても、逮捕拘束される可能性だってあるのだ。

これは由々しき問題だ。だから筆者は質問したのだ。

現在防衛省の記者会見は基本的に記者クラブ加盟している新聞やテレビなどの媒体しか参加できない。これは世界的に見ても奇異なシステムで、我が国以外ジンバブエやガボンぐらいしか存在しないらしい。韓国ですら既に記者クラブ制度を廃止している。

このシステムのもとでは外国の新聞やテレビなどの媒体は勿論、雑誌やフリーランスの記者も記者会見に参加できなかった。変化が起きたのは民主党政権時だ。ときの外務大臣である岡田克也‎氏が、外務省の記者会見に外国メディアにも記者会見参加の道を開いたからだ。

筆者は香港の軍事専門出版社、KANWA INFORMATION CENTER の日本代表として外務省の記者証を取得し(不思議なことにこれには、これはIDカードではありませんと但し書きがされている)た。だが、これだけでは外務省の取材はできても防衛省の取材はできない。FPIJ( FOREIGN PRESS IN JAPAN:在日外国報道協会)加盟する必要がある。こうしてやっと記者会見に参加できる。こうして筆者は本年の夏から防衛省の記者会見に参加でるようになった。

防衛省では他に専門媒体用の記者クラブ、「市ヶ谷クラブ」が存在するが、ここに所属しても記者会見に出席できる。だが、市ヶ谷クラブでも参加できるのはその媒体の社員のみであり、その媒体のために記事を書くのでも、フリーランスは参加できない。

かつて筆者は英国の軍事専門誌、JANE’S DEFNCE WEEKLY の日本特派員を務めていたが、この時は記者会見に参加できなかった。JANE’S DEFNCE WEEKLY は世界的に権威ある軍事雑誌とされ、日本のメディアも多くここの記事を引用している。だが、それでも記者会見に参加できなかったのだ。

先述のように筆者が防衛省の記者会見に参加できるようになったのはこの数ヶ月ほど前からだ。そこで上記のような「事件」が起こったのだ。筆者は軍事専門ジャーナリストとして20年以上のキャリアがあり、外国での記者会見にも多数参加してきたが、こんな経験をしたのは初めてだ。

普通記者の質問に対して、他の記者が上から目線で駄目出しをすることはない。記者それぞれ見識も違うし、キャリアも違う。仮に筆者から見て稚拙だなと思っても質問するなとは言わない。そうでないと新人記者は萎縮して成長しない。

この人物の「駄目出し」は極めて異状だし、面と向かった発言しておいて、独り言だといい、所属も氏名も名乗らないのは記者以前、社会人として問題だ。彼のやったことは2ちゃんねるあたりで、匿名で他人を誹謗中傷する卑劣漢となんら変わりはない。

彼の名は鈴木徹也(てつなり)、「皆様のNHK」の政治部の記者である。

 

 [②へ続く]

 

【あわせて読みたい】

タグ清谷信一
Pocket

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."