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.社会  投稿日:2013/11/21

「老老介護」という日本の将来像〜悲観ではなく当然のこととして受け入れ“心”と“おカネ”の準備を。


石川和男(NPO法人社会保障経済研究所理事長、東京財団上席研究員)

執筆記事プロフィールWebTwitter

特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護などの「介護サービス」に要する費用は、介護保険法に基づいて支払われる。どのような介護サービスにいくら支払うかについては、介護保険法に基づく国の「介護保険事業計画」で決められている。これは、3年ごとに改定されることになっており、その都度、介護保険法が改正される。

介護保険法が施行されたのが2000年なので、今は第5期介護保険事業計画の真っただ中ということになる。次の第6期は2015~17年度なので、諸々の準備を考えると、2014年明けの次期通常国会に介護保険法改正案が提出されることになる。そのための検討が厚生労働省で進められている。

次の資料をご覧いただきたい。

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これは、日本の将来像そのものだ。

現行の年金受給開始年齢が65歳なので、そこが高齢者層を区分する基準であることはわかるが、75歳で別途区分する根拠はあまり明確ではない。どうであれ、年金受給開始年齢から社会保障に依存する生活が始まるとなれば、65歳で大きく区分して社会保障費用の負担の在り方を考えるべきであろう。

今のように高齢者層を75歳で区分し続けることもないではない。だが、今後はますます現役層と退役層の世代間格差を問題視せざるを得なくなることは明白だ。

それを慮れば、介護保険制度も含めて、退役層は退役層の中でカネとヒトを賄う比重を大きくしていくことが必要だ。数十年後の自分たちの世代の生き方を予見するに、「老老介護」は確実に増えるであろう。しかし、それを悲観するのではなく、むしろ当然のことだと今から是認し、どうすれば老老介護でもそこそこ大丈夫であるようにするかを考えていくべきだ。

老々介護になるための心とおカネの準備をしておく必要がある。
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