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.JID  投稿日:2015/3/4

[Japan In-depthチャンネル ニコ生公式放送リポート]【朝日新聞バッシングを斬る!】~JIDx報道検証サイトGoHooコラボ企画~


2015年1月21日放送

Japan In-depth 編集部

GoHooとのコラボ企画第二弾。今回は朝日新聞の二つの吉田ショックについて検証する。ゲストは誤報検証サイトGoHooを運営する日本報道検証機構の楊井人文氏。

冒頭、話題はイスラム国による邦人誘拐事件について。今回の事件について楊井氏は「日本人にとってのイスラム国の位置付けが大きく変わった」と述べ、「イスラム国の実態を理解できるように報道することが大事だ」とメディアの役割を強調した。かつて中東でビジネスに関わり、中東情勢に詳しい安倍編集長は「イスラム国と普通のイスラム教徒は違う」と述べ、イスラム国の報道がイスラム教全体のイメージを損なうことに対し懸念を示した。
今回のメインテーマ、朝日新聞による2つの吉田ショック。福島第一原発事故の際の調書がスクープとして朝日新聞に発表されたが、結局誤報だとして取り消された「吉田調書」問題。そして1982年より朝日新聞に掲載された吉田清治氏の慰安婦問題に関する発言を、32年後の昨年に取り消した「吉田証言」問題。朝日新聞は批判を受けて昨年8月に第三者委員会を設置し、年末には行動計画を提出するとともに社長が会見して新たなスタートを切った。

しかし、「吉田ショックに対する波紋が新しい形で出ている」と楊井氏。新聞労連のジャーナリズム大賞で、吉田調書報道が特別賞を受賞したのだ。これは非公開のものをオープンにしたことで評価されたというが、誤報だとして取り消された吉田調書が賞を受けるという異例の事態だ。

また、1991年に慰安婦問題に関する記事を担当した元朝日新聞記者の植村隆氏は、慰安婦報道問題に対するバッシングを受け、週刊文春を相手取って民事訴訟を起こした。外国人記者クラブで行われた裁判の報告集会に参加し取材した楊井氏は、植村氏へのバッシングがひどかったことに対し、それを阻止していかなければいかないという訴えは理解できると前置きした上で、「植村さんの記事がジャーナリズムとしてどうだったのか議論がなされていない」と述べ、違和感を示した。

また、読売新聞や産経新聞が慰安婦問題をどのように報道したかを朝日新聞の報道と比較し、チラシなどの宣伝に使っていることについて、「朝日特有の問題という形にして展開したことに、GoHooとしては疑問を感じる」と楊井氏は述べた。

The Daily Yomiuriが「sex slave(性奴隷)」という言葉を使って慰安婦問題を報道してきたことにが一切検証されない中で、他の新聞社が朝日を批判していることを疑問視した。さらに、第三者委員会による結論が「対外的な影響はなかった」というものだったことに対して、「慰安婦報道の影響を検証するなら、朝日以外のものもすべきではないか」と述べ、他メディアがそもそも除外されていることを批判した。

楊井氏は、二つの吉田ショックへの反応やその後の波紋が「右と左のイデオロギー対立になって、問題の本質から外れている」と指摘し、報道そのものがどうであったかを議論する必要性を主張した。常にメディアは自浄作用を働かせるべきであり、その役割としてWebメディアが大きく貢献していくべきだという点で楊井氏と安倍編集長の意見は一致した。

さらにGoHooの目的について楊井氏は「報道の改善、質の向上ができているかをWatchすること」と説明し、誤報を検証するだけではなく、改善することの重要性を述べた。

2015年1月5日、朝日新聞はパブリックエディターを起用することを発表した。これはThe New York Times等で起用されているもので、社内に読者代表として紙面をチェックする担当を置くものだ。朝日新聞の新しい試み、この効果がどれだけ発揮されるのか、今後も注目していきたい。
(この記事は、2015年1月21日放送 Japan Indepthチャンネルの報道内容を要約したものです)


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