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スポーツ  投稿日:2015/3/5

[Football EDGE 編集部]【3分でわかる、Jリーグ2ステージ制導入の裏側(2)】~ポストシーズン制のメリット・デメリット~


写真:Football EDGE

Football EDGE 編集部(取材・文)

執筆記事

3月より開幕するJリーグ。今年は『ポストシーズン制』で優勝を争うシーズンとなる。前回の更新では、『なぜポストシーズン制を導入するのか』について解説 した。ここではポストシーズン制のメリットとデメリットに注視することで、ポストシーズン制の是非を浮かび上がらせていきたい。

ポストシーズン制のメリット

(1)明確な『決勝戦』の存在による注目度増
(2)メディア露出の拡大
(3)優勝を経験するチームの増加
ここに挙げる(1)と(2)が、ポストシーズン制導入を決めた、直接的な原因だろう。昨季までの方式だと、いつ、どこで優勝が決まるか、蓋を開けてみないとわからなかった。

サッカーファンの視点から見ると、最後までどこが優勝するかわからないというハラハラ・ドキドキ感もJリーグの魅力のひとつだったが、昨季のように徳島、埼玉、鹿島のいずれかの地で、試合が終了するまで優勝会場がわからないとなると、注目が分散してしまうことも否めない。

決勝戦があることで、テレビ放映に付随する売上などは無視できない金額であり、スポンサーにとって注目度が増える=露出が増えることになる。これは、大きなメリットだ。

『(3) 優勝を経験するチームの増加』もメリットとなるだろう。優勝争いの回数が増えることで注目度がアップし、スタジアムに足を運ぶ人たちが増えることが予想さ れる。また、2ステージ制という短期決戦の場合、通年では優勝に縁がなかったチームもタイトルに手が届くかもしれない。優勝争いや優勝を経験することで各 地域が盛り上がり、露出も増えて新規サポーター獲得のきっかけになれば、2ステージ制にした甲斐があるというものだ。

ポストシーズン制のデメリット

(1)年間最多勝ち点獲得クラブがチャンピオンになれないケースが出てくる
(2)プレーオフの仕組みがわかりにくい
2ステージ制を導入していた2000年、年間最多勝ち点獲得クラブは柏レイソルだった。1ステージ制であれば文句なしの優勝である。にも関わらず、1stステージ4位、2ndステージ2位となり、チャンピオンシップに進めなかったのだ。

し かし、2015シーズンから導入されるポストシーズン制は、年間勝ち点1位チームがリスペクトされる方式になっている……。と書いたが、具体的にはどうい うことか?「(2)プレーオフの仕組みがわかりにくい」のである。コアファンでもわかりにくいのに、ライトファンは理解できるのだろうかという疑問が残 る。

「Jリーグ再建計画」日本経済新聞出版社(Jリーグ前チェアマン 大東和美・Jリーグ現チェアマン村井満・編/秋元大輔・構成)によると、次のようなレギュレーションになっている。

「ポ ストシーズン制の大会方式は、18クラブによる2ステージ制で、まず前期・後期各ステージ1回戦総当りのリーグ戦を行い、リーグ戦終了後、前期優勝チー ム、後期優勝チーム、年間勝点2位チーム、3位チームの計4チームが『スーパーステージ』に進み、ノックアウト方式のトーナメント戦を戦う。最後にこの 『スーパーステージ』の勝者とリーグ戦年間勝点1位チームによる『チャンピオンシップ』を開催し、年間チャンピオンを決定する。

負け得のよ うなシチュエーションが起きることを防止するため、出場チームが重複した場合の繰り上げ出場は実施しない。よって、『スーパーステージ』の出場チーム数は 流動的で最大で4、最小で2となり、試合数は最多で3、最小で1となる。『チャンピオンシップ』は必ず1試合実施される(2014年5月時点で正式発表さ れている情報)。

つまり、年間獲得勝ち点1位のクラブはシードされ『チャンピオンシップ』1試合のみを戦うことになる。年間獲得勝ち点1位 以外のクラブは、チャンピオンシップに出場するために、スーパーステージを勝ち抜かなければいけない。スーパーステージで勝利を収めたチームがチャンピオ ンシップに出場し、年間獲得勝ち点1位のクラブと戦うことができるのだ。

つまり、年間獲得勝ち点1位のクラブはシードされ『チャンピオン シップ』1試合のみを戦うことになる。年間獲得勝ち点1位以外のクラブは、チャンピオンシップに出場するために、スーパーステージを勝ち抜かなければいけ ない。スーパーステージで勝利を収めたチームがチャンピオンシップに出場し、年間獲得勝ち点1位のクラブと戦うことができるのだ。

スーパー ステージを勝ち抜き、勢いを持ってチャンピオンシップに出場するクラブと、チャンピオンシップのみ1試合を戦う年間勝ち点1位のクラブ。フィジカル面では 後者が有利だが、勝負の世界では流れや勢いなど、目に見えないものが影響するのも事実。こればかりは蓋を開けてみなければわからないが、この方式では、必 ずしも年間勝ち点1位のクラブが優位とも言えないのではないだろうか。

メリット・デメリットはここに挙げたこと以外にもたくさんあるだろ う。最後に、損得だけでは推し量れない、感情論についても言及しておきたい。今回の2ステージ制(ポストシーズン制)は、熱心にスタジアムへ足を運ぶサ ポーターにとっては、おおむね不評である。「システムがわかりにくい」「年間最多勝ち点獲得クラブがチャンピオンになれないこともある」「優勝の価値が下 がる」といった声を聞く。

これら世論を無視してポストシーズン制導入を実行に移したことで、サポーターをないがしろにしている感も否めな い。スタジアムに足繁く通う『リピーター』をないがしろにして、新規顧客開拓ばかりに目を向ける方法は、ビジネスとしてもよいやり方ではない。安定して利 益をもたらすのはリピーターである。彼らを満足させてこそ、新規顧客を呼びこむ力になってくれるのだから。(第3回に続く)

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