ゴーンと司法
.社会  投稿日:2015/7/15

[相川俊英]【固定資産税過大徴収、再発防止策に疑問符】~神奈川県伊勢原市の仰天ミス、40年余 2~


相川俊英(ジャーナリスト)

「相川俊英の地方取材行脚録」

執筆記事プロフィール

 固定資産税などを過大徴収していた神奈川県伊勢原市は7月14日、対象住民への謝罪・説明会を実施した。税金を余計に取られていたのは、伊勢原市内の東高森団地(分譲マンション)に住む600世帯で、分譲開始の1973年から42年間にわたる。1戸当たり累計で18万4600円にのぼり、団地全体で1億円を上回る(全て同じ床面積)。本来、課税床面積に算入してはならない部分を市が誤って算入し、賦課していたのである。あってはならない重大ミスだ。伊勢原市の説明に納得できないという住民が多く、会場は大荒れとなった。税金を余分に取られていた怒りはもちろんのこと、それ以外にこんな事情も加わっていたからだ。

実は、団地内に以前から固定資産税額について疑問を抱く人たちがいた。市の担当課に問い合わせする人も現れたが、いずれも相手にされず引き下がるしかなかったという。重大ミスが発覚した今回も端緒は住民からの指摘だった。競売で物件を取得した人が疑問に思って丹念に調べ上げ、市の固定資産評価審査委員会に審査を申し立てたのである。

国が定めた固定資産評価基準では「壁の一方が腰壁又は手すりで囲まれ、その上部が開放されているバルコ二―については、建物の床面積に算入しない」となっている。申し立てた住民はここに着目した。市が本来算入してはならないものを誤って算入してしまったのではないかと推測し、市に家屋見取り図など根拠となる資料の提出を求めた。

慌てふためいたのが伊勢原市だった。市は家屋見取り図を保存しておらず、実地調査もしていなかった。数値の根拠をきちんと説明できなかったのである。こうして市は課税の誤りを認め、取り過ぎた分の還付や加算金を支払うことを明らかにした。もっとも、市が税金を取り過ぎたのは1973年度からだが、還付されるのは課税台帳が保存されている1986年度からとなる。還付金(今年度の更正分を含む)は約8496万円で、加算金(利息)は約6330万円にのぼる。1戸当たりの平均額は約25万円となる。

伊勢原市は東高森団地以外の全ての区分所有家屋(マンション)について、床面積を確認したところ、他に同様の課税ミスはなかったと発表した。そのうえで、複数の職員によるチェック体制により再発を防止するとしているが、はたしてこれで一件落着なのだろうか。2点だけ指摘したい。ひとつは住民の綿密な調査がなかったら、今回の重大な課税ミスは明らかにならなかったという点だ。そしてもうひとつは、行政内のチェック体制の不備が、加算金という本来ならば不必要な公金の支出を生み出したという点だ。その負担まで住民に負わせるのは、理不尽ではないか。

 

(この記事は[相川俊英]【固定資産税過大徴収、総額1億円超!】~神奈川県伊勢原市の仰天ミス、40年余 1~の続きです。本シリーズ全2回)

 

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