[佐藤慶一]【SNSはニュース消費をどう変えるのか?】~米国、ツイッターとフェイスブック上での変化~
佐藤慶一(ウェブ編集者/メディアリサーチャー)
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■ツイッター、フェイスブックユーザーの6割がニュース取得7月14日、米ピューリサーチセンターがメディアやジャーナリズムに関する最新調査を発表した。
今回明らかになったのは、ソーシャルメディア上でのニュース消費が増えていることだ。成人約2000人を対象としたこの調査ではツイッターとフェイスブックについて触れられているが、2013年と2015年のデータを見るだけでもその伸びは顕著となっている。
ツイッターは52%から63%へ、フェイスブックは47%から63%となり、6割以上がプラットフォーム上でニュースを得ている。この数字は米国の成人全体のうち10%がツイッターから、41%がフェイスブックからニュースを得ていることになるようだ(両方でニュースを得ている人はたった8%)
Share of Americans for whom Twitter & Facebook serve as source of news continues to rise http://t.co/AJo0oy7lkS pic.twitter.com/mkYu64ZAH9
— PewResearch Journo (@pewjournalism) 2015, 7月 18
(引用元:ピューリサーチセンター)
特徴としては、ツイッターは速報ニュースに強く(ツイッターの59%に比べフェイスブックは31%)、政府や政治、国際問題、ビジネス、スポーツなどについてもフェイスブックを上回っている。フェイスブックは意外にもミレニアル世代がニュース取得をしていることがわかった(74%)。
ちなみに、ピューリサーチセンターが6月に発表したデータでは、ミレニアル世代の6割がフェイスブックで「政治」ニュースを取得し、CNNやABC、FOX、Yahoo Newsなどあらゆるメディアよりも上回っていることが話題になっていた。
■プラットフォームによるメディアの囲い込み
ところで、各プラットフォームのコンテンツをめぐる動きは盛んになりそうだ。ツイッターは英語圏の動向においてはフリップボードやサーカといったニュースアプリやミレニアル世代から支持を集めるニュースサイトの買収なども噂され、日本では7月から「ニュース機能」の提供がはじまっている。
他方のフェイスブックは媒体社が記事コンテンツをホスティングできる「インスタント・アーティクルズ」を開始。バズフィードやニューヨーク・タイムズなどメディアの囲い込みをはじめている。また、これまではニュースフィードに流れる情報がフェイスブックのアルゴリズムで決まっていたが、最近、それに優先順位をつけることができるようになり、ユーザーによるカスタマイズが可能になった。ユーザーがフェイスブックから離れなくてもよい環境を徐々に整えているように見受けられる。
どちらのプラットフォームも広告ビジネスをメインの収益エンジンとして成長しているので、ユーザーを囲い込み、滞在時間を増やし、そのためのコンテンツも増やし、できるだけ広告を見てもらえるようにする・・・といった流れは理解できるものの、媒体社は広告だけでなく課金をメインとするところもある。そういったプレイヤーはツイッターやフェイスブックが向かう方向でないところで成長を目指せるようにしっかり考えないといけない段階だ。プラットフォーム側とメディア側の戦略、そのどちらも注目すべきタイミングなのだろう。