[一色ふみ]【「うなぎ」が夏バテに効くワケ】~ビタミンB1が鍵。豚肉、レバーも~
一色ふみ(食育インストラクター/ジュニア・アスリートフードマイスター)
「一色ふみのスポーツ×フード」
日本には『土用の丑の日』にうなぎを食べる習慣があります。そもそも『土用』というのは四季それぞれに一回ずつ計4回ある期間のことで、そのうち十二支の丑の日にあたる日のとりわけ夏期のその日を、いわゆる『土用の丑の日』と呼んでいます。この時にうなぎを食べる理由は諸説ありますが、夏バテを解消するため、暑い夏を乗り切る力をつけるためとも言われています。(ちなみに“夏バテ”というのは、暑さで冷たいものや水分を摂り過ぎてしまい胃腸が弱ったり食欲が落ちたりして体が疲れている状態のことです。)
うなぎは栄養価が非常に高いのですが、とりわけ夏バテに効くと言われているビタミンB1が豊富に含まれています。ではなぜビタミンB1が夏バテにいいのでしょうか?
まず夏バテをしている体に必要なことは、疲れてだるくなってしまっている体にエネルギーを与えることです。そのエネルギーのもととなるのは糖質、つまり米などの炭水化物です。その糖質をエネルギーに変えるためにビタミンB1を必要とします。つまりエネルギーのもととなる糖質とビタミンB1を一緒に摂ることが、夏バテ解消メニューの必須条件となるのです。
まさに土用の丑の日によく食べられる「うな重」は、うなぎ(ビタミンB1)+米(糖質)ですね。さらにうなぎには、発汗で失われるミネラル(カルシウムやその他ビタミン群)も豊富に含まれ、皮のぬるぬる成分には疲れきった胃腸を整える機能があります。そんな理由で、うなぎは栄養満点の夏バテ解消メニューの代表格となっているのです。
夏バテ解消の要となるビタミンB1は、うなぎ以外だと豚肉やレバーにも豊富に含まれています。暑さによる疲れや睡眠不足からくるストレスでビタミンCも失われがちなので、具材に野菜をたっぷり入れたりサラダ・フルーツを副菜にするなどしてビタミンCの補給も意識するとなお良いですね。
こう暑い日が続くと食欲も落ちてあっさりしたものばかり食べたくなります。しかしそれでは栄養がしっかり摂れないのでさらにバテてしまう、という負のループに陥りがちです。あっさりそうめんを食べるにしてもビタミンB1たっぷりの豚しゃぶやミネラル豊富な野菜を盛り付けたり、さっぱり食べるために料理にレモンを絞ったり、食欲をそそる効果のあるニンニクやしょうがの香味を加えるなどして、あっさりでも栄養不足にならないように工夫してしっかり食べましょう。
“気の持ちよう”というのも私は大事だと思っています。夏になると飲食店や弁当屋で「スタミナ」と名の付くメニューが目立つようになります。暑さで疲れてしまった時に「スタミナ丼」とか「スタミナ定食」と書かれた料理を食べると元気が出るような気がしませんか?食物から摂る栄養に加えて、“食べたら元気が出るような気がする”ことも夏バテ対策のエッセンスになります。
もう少しだけ暑さは続きます。今年は九州から関東で平年より厳しい残暑が予想されています。ぜひ夏バテ解消のビタミンB1を意識し、体力が落ちないようしっかり栄養をつけて元気に残暑を乗り切りましょう。
写真引用:サッポロビール株式会社(http://www.sapporobeer.jp/wine/santarita/curry/recipe/a-34.html)