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.国際  投稿日:2016/3/17

ゴール目前ヒラリー、党大会カオス必至共和党 米国のリーダーどう決まる? その10


大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)

「アメリカ本音通信」

小スーパー・チューズデーと呼ばれた3月15日の米大統領予備選挙がフロリダ、ノースカロライナ、イリノイ、オハイオ、ミズーリの各州で行われ、民主党はヒラリー・クリントンが5州すべて勝ち取り、共和党はオハイオ州以外の4州でドナルド・トランプが勝利を収めた。

民主党では、これでヒラリーの指名がほぼ決まったと言っていいだろう。バーニー・サンダースはまだまだ敗北宣言をするつもりはないだろうが、残りの州で選挙人を72%以上獲得しなければならない計算になる。サンダース支持のリベラル層が多い東・西海岸での予備選挙が控えているものの、ニューヨークやカリフォルニア州といった広大な州では、都市部に彼を熱狂的に支持するリベラルの若者が多くいても、州全体では中道の候補が選ばれる、つまりヒラリーの優位は動かないだろう。

民主党の候補者指名の可能性が低いとしたら、今後サンダース陣営にはどういう展開が考えられるか? これ以上クリントンとディベートを続けても、サンダースの理想論に具体的な政策が伴っていないことや、外交問題には疎いことがさらに明るみに出てしまう。「すべてはウォールストリート(金融業)の政治献金によって、選挙制度が不公平になり、格差が拡大したのが悪い」という説も一本調子で聞き飽きられる。

サンダース候補が共和党レースのトップを走るトランプを攻撃するのはけっこうだが、Bernie Brosと呼ばれる心酔者(若い白人男性が中心層)はオキュパイ運動のデモのノウハウがある人たちなので、トランプ側のイベントに参加してはデモをすることで自分たちの主張をアピールしている。だが、サンダースが彼らのリーダーとして、トランプにも表現の自由があり、ラリーを阻止することを非難して、やめさせるよう訴えなければ、そのうち小競り合いで怪我人が出るぐらいでは済まなくなってくるかもしれない。

いずれにせよ、夏の党大会で候補が絞られれば、オバマ大統領を始め現役の民主党議員や州知事が一斉に支持を表明し、一丸となって大統領だけでなく、上下議会の席を増やそうと戦う準備はできている。

一方、共和党は自分の地元フロリダ州でも惨敗の憂き目を見たマルコ・ルビオ候補が撤退し、残るはトランプ、テッド・クルーズ、ジョン・ケイシックとなった。クルーズは既にルビオ票を自分の側に取り込もうと必死だが、これからはトップの候補がその州すべての選挙人を獲得するwinner takes all(勝者総取り)方式の州が多いので、2位に甘んじていてはいられない。ケイシック候補も地元オハイオでは勝利したものの、トランプの勢いを凌ぐほどの支持を急に集められる手立てはない。

対立候補も残る2人となったトランプは、今までの勝利スピーチとは打って変わってフロリダの自宅から「共和党の団結」を訴えたが、このままではトランプでさえ、残りの州を55%の支持率で勝ち続けなければならない計算だ。7月にオハイオ州クリーブランドで予定されている党大会ですんなりと候補者として指名を受けることはないだろう。党大会の時点で過半数の選挙人を確保した候補者がいないContested convention(異議あり党大会)では、当大会で選挙人が投票し直すので、今までに撤退した候補が獲得した選挙人を味方につけた者が有利となる。また、これまで予備選に参加していなかった人物をいきなり候補者に立てる道も残されている。共和党主流派は前回の大統領選でバラク・オバマに敗れたミット・ロムニーや、その彼の副大統領候補で今は下院議長を務めているポール・ライアンを担ぎ出すという説もある。

いずれにせよ、最悪の場合は共和党そのものが分裂しかねない前代未聞の党大会になるだろう。もう誰にもその先の大統領選がどうなるのかわからなくなったことだけは確かだ。

トップ写真:everystockphotoより素材として使用


この記事を書いた人
大原ケイリテラリーエージェント

ニューヨークを拠点に日本の著書を欧米に売り込むべく孤軍奮闘するリテラリー・エージェント。ニューヨーク大学の学生だったときはタブロイド新聞の見出しを書くコピーライターを目指すも、今はバイリンガルで親爺ギャグを飛ばすに至る。

大原ケイ

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