若者に人気の党はどこか? 全国高校生未来会議2日目
山本みずき(iRONNA特別編集長)
山本みずきの「モノ申してよかと?」
地方創生や若者による選挙啓発を狙いに、高校生たちの手で企画・運営されている「全国高校生未来会議」。2日目の24日は、各党代表者による若者向けの政策演説に始まった。参加したのは、自民党、公明党、民主党、維新の党、おおさか維新の会、社民党、共産党、日本のこころを大切にする党、改革結集の会、新党改革の計10党。
その後、会場の高校生たちによる模擬投票が実施された。なお、模擬投票は、選挙に関するインターネット・サービスを提供する”MIRAVO”を通じて行われた。
最も多く票を集めたのはおおさか維新の会で、得票率は28%。続いて二位の社民党が22%、三位・自民党15%、四位・公明党12%、五位・日本の心を大切にする党8%、六位・維新の党7%、七位・民主党4%、八位・共産党3%、九位・改革結集の会1%という結果になった。ただし、新党改革の党は演説のみの参加。
一位のおおさか維新の会が掲げたのは、「消費税増税の延期」と「子育て施策」。幹事長馬場伸幸衆議院議員の軽快な関西弁の語り口は、場の空気を和ませ笑いを誘う場面もあった。大阪府議会における議員と歳費の削減を断行し、大阪府の私立高校の授業料無償化、さらには大坂市内の住民を対象に(子育てをサポートするサービスが利用可能な)月一万円分のバウチャー券の支給といった政策を実現させた実績をアピールした上で、「誰がほんまに約束したことを実行するのか見極めてください」と語りかけた。
奨学金の充実を政策に掲げる党が多数をしめるなか、馬場衆議院議員は経済的なサポートを全面に打ち出すことによって他党と差をつけた。
他方で三位にランクインした与党・自民党幹事長谷垣禎一衆議院議員は政策を3つに絞り、「若者の政治参加」「教育・社会保障」「経済」の観点から具体策を述べた。自民党内では、若者の政治参加の道を切り開くことを視野に入れ、被選挙権の引き下げや供託金の減額、さらに投票率の向上を目的として投票の簡便化を検討しているという。教育の分野では機会の平等を実現すべく、引き続き奨学金や就学援助制度の充実を目指すことを目標に掲げた。
さらに谷垣衆議院議員は「新たに18歳から選挙権ができる歴史的な時ですから、自民党としても全国の高校生の皆さんが集まって地域やその社会に対する問題意識や体験をぶつけあって、できれば具体的な提言にしていただきたい。そして皆さんの提言のなかから国政に活かすべきものがあれば私達もそのために努力したいと考えている」と述べ、これまでに届いた若者からの政策提言の実例を挙げ、高校生に向けて政治に参加する具体的な方法を示した。
「党に若者を取り込もうとして、できることやできないことを示さずにやっているのかな」、こう語るのは君塚凛太郎君(岩手県立盛岡第一高等学校在籍)。同じように懐疑的な声は学生のあいだで多く聞かれた。
岐阜県名古屋市の椙山女学園高校武田瑠郁さんは、このイベント参加の意義について、「政治に興味のない子が回りに沢山いて、そういう子にどれだけ興味を持たせられるかというのが私たちにとって必要。」と述べた。又、模擬投票について、「実際にボタンを押すというという行動をしてみたのは初めてで、投票と似た感覚だったので、これから役立つと思う。」と評価した。
彼らの政治に対する問題意識はどうだろうか。秋田県立能代高等学校の藤田和隆くんは、地方の抱える課題について「秋田は人口減少が日本一進んでいる。地元に対する恩恵や思い入れがないと、人はその地域に残らないと思ったので、誇りをどのように感じてもらえ、どうすれば根付くのか、そうした郷土愛の育み方を考えることが重要だ。」と語った。
政治との距離感についてはこんな意見も聞かれた。「(村岡敏英議員(秋田)と話して)もっと高校生と国会議員が話をする場が増えればいいなと思った。スウェーデンでは普通らしい。距離感を縮めないといけない。」(秋田県立大館国際情報学院高校三政奈緒 さん)
実際に政党の政策を聞き、それを評価したり、国会議員と意見を交換したりすることで様々な気づきを得た参加者たち。3日目は、「地域興しプランコンテスト」が行われ、最優秀プランには内閣総理大臣賞が贈られる。
(続く)
<写真> ©Japan In-depth編集部
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この記事を書いた人
山本みずき
1995年生まれ。慶応大卒。現在、慶応大大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程在籍。中曽根康弘世界平和研究所支援研究員。日本学術振興会特別研究員。研究対象は政治的急進主義とインテリジェンス。共編著に『国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ―藤井宏昭外交回想録』(吉田書店、2020年)。