ゴーンと司法
.社会  投稿日:2020/1/9

小池再選は固いが、波乱も【2020年を占う・都政】


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

【まとめ】

・五輪・パラリンピックの後の経済状況が懸念される。

・都知事選で小池氏が立候補すれば、再選は堅い。

・政党や知名度だけでなく経歴や実績に議論が及ぶ選挙にしたい。

 

2020年を占う、この企画。2020年の東京は東京五輪・パラリンピックの開催があることに尽きるだろう、いい意味であれ、悪い意味であれ、レガシーになる。五輪・パラリンピックはそれでそれなりに成功するだろうが、恐ろしいのはその後の経済状況などである。

 

■ 2019を振り返る

まずは恒例のネタ。東京の兄が、2019年の流行語を交えながら、まず2019年を振り返ろう。

1月:出国時に1人1000円を課す「国際観光旅客税」がスタート。増大するインバウンドに対応したものだが、オーバーツーリズムに苦しむ自治体も。

2月:米朝首脳会談、残念ながら決裂。韓国の文在寅さんが笑わない男に。

3月:ゴーンさんの保釈、作業着への変装が話題に。野球のイチローさんが引退、会見では「後悔などあろうはずがない」発言。

4月:新元号が「令和」に決まる。有能な番頭さんであったはずの菅さんが「令和おじさん」としてキャラ化・人気急上昇。池袋で高齢ドライバーである飯塚幸三さんの暴走が引き起こす凄惨な事件発生。容疑者扱いされないままで、「上級国民」は逮捕されない?で世論沸騰。けれども、免許返納する高齢者は増加。

5月:令和の時代に。丸山穂高さんが戦争発言で所属政党から除名される。しかし、その自由な発言で「NHKをぶっ壊す」党に参画。「無敵の人」活動を開始!

6月:G20大阪サミット開催。グレタさんの問題提起はあまり受け入れられず。

7月:イリエコネクションを発端とした芸人の闇営業問題で大騒動。参議院議員選挙は関心薄く、「松本 動きます」が、有権者は動かず。

8月:「ホワイト国」のリストから韓国を除外し日韓関係悪化。セクシー小泉進次郎氏と滝川クリステルさん結婚したが、ポエムは発表されず。高速道路をまたにかけた「あおり運転の申し子」が大ニュースに。「エグザイルの41軍」にでもいそうな男性とガラケー女と一緒に逮捕される。原宿に「東京タピオカランド」がオープンしたが、原宿周辺はタピオカごみ問題も。タピるのもいい加減にしてほしい。

9月:香港で反政府抗議デモ、海外ではウイグル人への対応で中国の人権問題が問題に。日本では#KuTooとならないが、新幹線での靴をぬぐか問題がネット世論沸騰。

10月:消費税増税、軽減税率は騒がれず。◯◯ペイでキャッシュレス経済も拡大。ラグビーW杯で8強入り、にわかファン含めたONE TEAMで日本が熱狂!ジャッカル

「(英語民間試験は)自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえば」と身の丈発言が大騒動になり、大学入学共通テストでの英語民間試験導入が延期に。

11月:ジャパンライフの人や「反社」まで来ていた「桜を見る会」を政府は来年度中止に。シュレッダーが大勝利(笑)。「別に」の女優がお薬問題で捕まる。

12月:#忘年会スルーが話題に。若者はミルクボーイのコーンフレークの漫才でも見ていたいらしい。ゴーン被告がレバノンにゴーン。タピるで騒動になった女性タレントが離婚、チョリース!

▲写真)ラグビー日本代表ジャージ 出典)筆者撮影

時を戻そう。いや、東京に戻そう。

東京ではと言うと、札幌への五輪マラソンコースが移される問題で小池都知事が張り切ったくらいしか、都政ではこれといった話題はなかった。東京では、11月に「渋谷スクランブルスクエア」が開業するなど、再開発の動きは止まらない。

▲写真)渋谷スクランブルスクエア 出典)筆者撮影

そんな2019年であった。

 

■ 都知事選、各党の状況は

まずは東京都知事選挙であろう。小池さんの再選はどうなるかである。今のところ、小池都知事自体は明確には明らかにしていない。

都議会自民党は「都政を混乱させた」という意味不明な主張で批判を強めているが、二階幹事長が、立候補すれば小池知事を支援する考えを示していて、さらに安倍首相は「(小池さんには)勝てないよね」という話を発したと言われている。公明党は山口代表が再選容認を示唆したとも言われている。立憲民主党は、小池さんが希望の党設立に至った件で「けじめをつけさせなければならない」との声・・・・。

こうなると小池再選は手堅いところだろう。れいわ新選組の動きに期待したい。

 

■ 専門家はどうみているか?

選挙の専門家の2人に聞いてみた。ネット選挙やネットでのコミュニケーションの専門家の高橋「ヨロン」茂氏に聞いた。

▲【出典】高橋氏(本人提供)

「今のままだと、小池さんが順当に勝つでしょうけど、オリンピックがどのように開催されるかによって情勢は変わるかもしれません。開催できないことも含めて、あとは衆院選と同時選挙があるかどうか。勝てるとしたら、蓮舫さんぐらいかな。都知事は知名度と「華」が必要です」とのこと。

確かに五輪前後でひと山ありそうだ。

さらに、テレビでも有名な選挙コンサルタントの松田馨氏に聞いた。

「基本的に首長選挙における2期目の選挙は、3期目4期目に比べて再選率が高い。昨年10月下旬に行われたJX通信社の世論調査でも小池知事の支持率は53.6%と過半数を超えていることから、小池知事が二期目に立候補すれば当選の可能性は高いと考える。」

立憲民主党などの野党が統一候補を擁立する動きも報道されているが、仮に擁立できた場合は自民党都連の候補と2人で小池批判票が割れることになり、小池都知事が漁夫の利を得ることになるだろう。現職有利を覆すためには、都民の7割以上がその人物を知っているような圧倒的知名度が条件になる。その上で、無党派層から自民党・野党の一部からも好感を持たれているような人物であれば闘えるのではないか。」とのこと。

▲【出典】松田氏(本人提供)

2人の著名な選挙プランナーが言うようなおもしろくもない情勢が予想され、しかもそうなりそうである。過去の都知事たちが(都政の反省もなく)テレビで発言していて、都民も悲しくなっているように、著名人であること、タレント性がどうしても必要になってしまう。私は都議会議員や東京都内の首長で都知事にふさわしい人物を多く知っているが、行政経営の論理よりも、選挙の論理が優先してしまう。悲しい現実である。

 

■ お寒い令和の東京都知事選挙

小池都政についてはここでも書いてきたが「(以前の石原都政、猪瀬都政、舛添都政よりは)まだまし」と評価する面もある。

しかし、

・東京五輪のSDGsや環境問題、レガシーには程遠い

・満員電車ゼロなどの主張はどっかにいってしまった

・政策過程はブラックボックスのまま

である。それなりに新しいこと、目立つことには熱心であり、ちょっと「何か時代に合った新しいことをしている」というムードを作るのは小池都知事はとてもうまい。

しかし、令和になっても、政党中心、知名度中心、票獲得中心思考の選挙候補者選びである。そこではこれまでの経歴や実績も人物としての妥当性には議論が及ばない。野党も与党も相変わらずである。

・選挙に勝つためには知名度が必要→著名人・タレントが都知事になる

・メディアが争点を提起できない→政争でしか選挙が盛り上がらない

・政策議論よりも自分たちの利権重視→首都東京都の先進的な政策はできない

・おカネ面は比較的豊か→都民はそんなに困ってはいない→厳しい喧々諤々の政策議論が進まない→無駄な事業が増える

この構造を変える時代がもうそこまで来ている。

「うるさい!」って。確かにお前よりはうるさい。もう誰かのせいにするのはやめにしよう。

 

【注意】M1グランプリの決勝ラウンド進出の芸人ぺこぱ風にまとめました。

トップ写真:小池百合子都知事 出典:flickr photo by World Economic Forum


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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