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.政治  投稿日:2024/6/23

【都知事選、本当の争点】⑤どこ行った?!東京大改革 誰も知らない蓮舫さんの実績


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・蓮舫氏、参議院議員時、議員立法/質問主意書の数は多かった。

内閣府特命担当大臣時、事業仕分けなどを主導した。

・これまでの政治家としての実績は客観的に見て評価していい。

 

蓮舫さんの実績はあまり知られていない。議員として、参議院議員を4期、政府の要職も担ってきた。過去には、内閣府特命担当大臣(行政刷新担当、公務員制度改革担当、消費者・食品安全、共生社会政策、新しい公共、少子化対策、男女共同参画)、参議院国土交通委員長などを務め、政党の役職としては元民進党代表元立憲民主党代表代行を務めた。

どうしても目立ってしまう行動、特に発言や質問の鋭さのみ注目されて「実績はどうなの?」と言われるが、その実績を評価すると客観的に見ても、高く評価できる。

 議員立法/質問主意書の数

議員の仕事は、国民の声を聴くこと、利益団体の陳情や請願に対応すること、国民のための法律提案、国会で質問したり、国政調査権を駆使することなどがある。なかでも、議員立法については、議員活動の評価をする1つの視点になる。なぜかというと、議員立法をするには、現状を調査・分析し、関連法律をチェックし、法的面を確認するなど、結構大変な活動だからだ。思い付きで議員提案をするのは容易ではない。相当の努力をしないとできないものである。蓮舫さんは、2013年の参議院において、議員立法提案数が11回と第5位中身は会計検査院、公務員関係のものが多い。

そして、質問主意書もいろいろと提出している。新型コロナワクチン接種証明書アプリに関する質問主意書においては、マイナンバーをめぐる官僚の「近日中」という発言に具体性を求めたり、政府の見解と行動の理由についての回答を求めたりしている。「国会議員の職務等に関する質問主意書」において「安倍総理は、そもそも国会議員の職務とは、どのようなものであると考えるか。」(第197回国会臨時会、質問主意書。第二四号)といったそもそも論を問う。また、NHK党の立花孝志さんに評価されるほど、NHKに対しての追及にも協力していたり、自分が正しいと思ったことに対しては、党派や利害を超え、常識にとらわれずに行動している。政府の曖昧な答弁を問いただす、本質的な質問をする、数字の根拠を確認する、こういった質問の数々であった。

■ 不正追及・行革での実績

事業仕分けにおいて、「いつまでに整備できるか出口が見えない。お金の使い方として疑問だ」とスーパー堤防建設事業を廃止判定したり、次世代スーパーコンピュータ開発の予算削減を決定した。日本スポーツ振興センター、クールジャパン機構などへの国の出資やその見通しの甘さや構造についての問題提起で多くの国民が問題を知ることになった。

大臣時代は、その活躍が目立った。本領発揮。「すべての政府系の公益法人が関連する事業につきましては、横断的な見直しを行い、平成22年度、まだ未執行の予算、あるいは平成23年度の概算要求などに反映することを行政刷新会議としても確認いたしました」(内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月15日発言)「独法の「溜まり金」につきましては、利益剰余金等の形で各独法にたまっている資金、いわゆる内部留保なんですが、この内部留保については算定基準を民間企業並にしていただき、再精算をお願いしています。」(内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月18日)といった大臣時代の発言からうかがえるのは、大臣の主導力である。

ここまで専門性を持って組織を主導できる議員はあまりいない。事業仕分けを発展させた「行政事業レビュー」は現在も制度としてビルトインされた。そこは成果と言っていいだろう。たった7か月の間に実にいろいろなことをやっている。「1位じゃダメなんですか」といった言葉を切り取られて注目を浴びたが、蓮舫さんの本質的な問い、合理的、論理的なチェックによって、多くのことが明らかになった。そして、政権時には独立行政法人へのお金の使い方に対する各省庁のガバナンス強化の法案を出したり、言葉だけでなく、行動した。

▲写真 講演会にて(筆者撮影)

■ 実績は他の議員と比較してどうか

・政府の問題をわかりやすく可視化する

・質問で本質論を提起し、政府から情報を引き出す、疑問を投げかける

・しっかりチェックし、事業費の内訳、その根拠を確認する

・論理的かつ合理的な思考で、相手に疑問を投げかける、問題提起をする

これらは政治家に期待される当たり前の行動ではあるが、蓮舫さんはこうした行動で数々の政府の問題を明らかにしてきた。他の議員と比較しても、そのまじめな姿勢や調査力は、政策評価と行政改革の専門家である筆者から見ても、なかなかやるなと思っている。

派手なパフォーマンスを見せる人というより、調査に基づいて勉強してきた、堅実なまじめな実務家。政党や政府機関の組織のトップとしてのマネジメント力やリーダーシップはヒアリングなどをしないと判断はつかないのでここでは書かないが、1議員として事務所を引っ張り、調査能力を結果で示してきた。これまでの政治家としての実績は客観的に見て評価していいと思う。

<注>本文は筆者の専門家としての意見であり、公平中立に評価したものです。これらの意見は、所属組織には関係ありません。

トップ写真:蓮舫候補(2024年6月19日東京都千代田区日本記者クラブ)出典:Yuichi Yamazaki – Pool/Getty Images




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