再エネ主力電源化に民間結集
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・民間のエネルギー事業者らが政府に提言を行う動きが始動。
・再エネ事業者ら5社が一般社団法人「再生可能エネルギー長期安定電源推進協会」設立。
・規制緩和や技術開発などに関し政策提言を行う。
再生可能エネルギーの安定電源化推進に期待が高まる中、民間のエネルギー事業者らが協力して、政府に提言などを行う動きが始動した。
その為に設立されたのは一般社団法人「再生可能エネルギー長期安定電源推進協会」。再エネ事業を手掛けるリニューアブル・ジャパンと東急不動産、JXTGエネルギー、東京ガス、オリックスの5社が共同で立ち上げ、設立記者会見が1月15日都内で行われた。
今後、研究開発などで協力し、再エネ主力電源化などに向け、様々な政策提言を経済産業省などに行っていくという。電力事業者、再エネ事業者、金融機関など、幅広く参加を募り、発言力を強化したい考えだ。
▲写真 「再生可能エネルギー長期安定電源推進協会」設立記者会見 ©Japan In-depth編集部
東京ガスの穴水孝副社長は、「業界の垣根を越え課題を共有して、一体となって声を上げて、規制緩和や技術開発などに関し政策提言していくことで、国にも真摯に受け止めてもらえると思う。」と話した。
また、東急不動産の岡田正志副社長は「多くの企業が新たな事業として(再エネに)取り組んでおり、皆で知恵を出し合いたい。発電者の意見を政策に反映してもらいたいと思う」と語った。同社は、2014年に太陽光発電事業に参入して以来、再生可能エネルギー事業を本格展開しており、2050年までに事業活動で消費する電力を100%再エネにすることを目標に掲げている。
▲写真 東急不動産の岡田正志副社長 ©Japan In-depth編集部
原子力発電所の再稼働が進まない中、火力発電に頼らざるを得ない日本は、地球温暖化防止の観点から、去年末のCOP25などでも批判にされされた。
そうした中、クリーンな再エネの大量導入に期待がかかるが、導入コストの低減促進や、送電網の不足解消、いわゆる「系統制約」などの問題が横たわる。さらに再エネを主力電源化し、持続可能なエネルギー事業とするためには、蓄電池やVPP(バーチャルパワープラント)など、技術開発が欠かせない。
米-イラン間の緊張が高まる中、原油輸入の9割を中東に依存する日本はエネルギー安全保障上、脆弱な立場にある。財界からも、2030年のエネルギーミックスをみなすべきではないかとの声も上がっている。再エネの主力電源化に弾みをつけるため、政府は、民間の声をいかに早く政策に反映させることができるか、対応を迫られることになる。
トップ写真:©Japan In-depth編集部
あわせて読みたい
この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。