無料会員募集中
.国際  投稿日:2020/2/10

「新型肺炎対策遅れで市民怒り心頭」”民主化の女神”


 Japan In-depthチャンネル

©Japan In-depth編集部

 

 

 

【まとめ】

香港の学生民主化活動家のアグネス・チョウ氏が香港の今を語った。

・香港当局の新型肺炎対策の遅れで市民の怒りは頂点に。

香港の医療関係者による5日間の大規模ストライキ

 

 

今回のJapan In-depthチャンネル(MC:Japan In-depth編集長安倍宏行)は、女優サヘル・ローズさんとお送りするROSE EYE。テレビ電話にて「民主の女神」こと、香港の学生民主化活動家のアグネス・チョウ氏を、そして現在日本の大学へ通う香港人留学生のジェイソンさんをゲストに招き、香港の現状について安倍宏行編集長とサヘル・ローズさんが話を聞いた。

写真)アグネス・チョウ氏(左)、サヘル・ローズ氏(右)

出典)facebook:Japana In-depth

 

 

・チョウ氏の活動の原点

 

現在現役大学生で23歳という若さのチョウ氏は8年前、高校1年生の頃に体験した「国旗を見た時に涙を流せば高い点数をつけるような、ばかばかしい」香港政府の「愛国教育」に不信感を抱き、初めてデモに参加したことが政治参加のきっかけとなったと話した。2014年には「雨傘運動」に参加し、2016 年には香港立法会で民主議員へ立候補。しかし香港政府により議員立候補の資格を剥奪された。チョウ氏は、香港の「自由の保証」や「人権の自由」がない民主主義に欠けた政府の対応を厳しく非難した。

 

2019年になってからも民主化デモは続いている。犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案が発端となり、6月に出された「五大要求」の達成を目標に行われているものだ。

 

チョウ氏は、今後もこのデモ活動は長期戦となるとの見通しを語った。香港の民主化勢力は香港政府だけでなく、中国共産政権とも対立しているため、「こんなに強い独裁政権と戦うことは簡単なことではない」と述べた。しかし、「香港市民が要求しているのはとても基本的な民主主義」だとし、「自ら自分の生き方を決めたい」と述べ、現在の香港では国会にあたる立法会の議会の半数が中国と結びつきが強い団体から選ばれるため、立法会議員も民主的に選べない現状を訴えた。

 

デモに参加している若者たちも警察から暴行受けたり行方不明になったり虐待が多発している。そのため、香港市民も政府への怒りを見せなければ何も変わらない、戦わなければという意思はみんな持っているという。「最後の目標は本当の民主主義だ」とチョウ氏は述べた。

 

そんな現状を語るチョウ氏は、去年8月に警察に反政府活動が理由で逮捕され現在仮釈放中である。週二回の警察署への経過報告、夜間外出禁止に加え、香港から出境禁止などの制限があるという。今回の番組のようにテレビ電話やSNS、インターネットで海外に向けて発信は可能だが、裁判が終わるまで実際にチェンさん自身が海外に行って香港の現状を伝える役割を果たすことができないのが一番苦痛だと述べた。

 

ゲストのジェイソンさんも一度香港に帰国し反政府活動に参加した際に逮捕され、3ヶ月間日本に帰ってこれなかった経験を持つ。日本にいる香港人留学生の中には「日本で団体に所属し活動する学生」や、「個別に香港に入ってバックアップする香港人も何人かいる」と述べた。

 

・新型ウィルスの影響

 

さらに今問題となっているのは新型コロナウイルスへの香港政府の対応だ。チョウ氏は、対策の遅れにより香港市民の怒りが増幅され、今後の選挙への影響は必至だと述べた。

 

香港は中国と隣接しているにも関わらず、未だ毎日何万人という人が中国大陸から香港に入境している。入境する際に武漢に滞在していたかなどの質問用紙への記入を実施しているがそれだけでは防ぎきれないのではないか?とチョウ氏は指摘した。このような緊急事態への対応の悪さから香港では医療関係者によって2月3日から5日間、3000人から5000人という大規模ストライキが行われた。

写真)マスクが売り切れたドラッグストア前の市民(2020年1月30日)

出典)flickr: Studio Incendo

 

 

日本では次第に香港民主化デモの報道は途絶え、日本人は香港のこと忘れかけている。そして日本の報道の仕方も間違っているのではないか、と実際に香港を訪れたサヘル・ローズさんは指摘し、「どこで何が起きているかという細かい説明がなく、香港全部が危険というイメージが伝わってしまっている。」、「もっと香港の強さと事実を伝えてほしい」と述べ、実際に聞いた民間の声を紹介した。

 

コロナウイルスによって民間の政府に対する不満がさらに倍増したが、現在はデモは一時中断しているという。しかしこの新型ウイルス問題が沈静化したら、反政府活動は今までよりも大規模になるのではないかとチョウ氏は予測した。

 

・習近平国家主席の訪日

 

安倍編集長が、中国の習近平国家主席が4月に日本へ国賓として招待されることについてどう思うか聞いた。それに対しチョウ氏は、「香港だけではなく、中国大陸、チベットとかウイグルで人権問題が起きているのに、今このタイミングで国賓として呼ぶのはふさわしくない。」と述べ、日本の経済の利益のためだとはいえ、このタイミングは間違っているのではないかと批判した。

 

チョウ氏に将来の進路を聞くと、民主的ではない香港のシステム、政府の弾圧により、政治の道に進みたくても難しいのが現状であり、デモしか方法がないと述べた。今後チョウ氏は、特に日本語を喋れる香港人は少ないので日本への情報の発信を続けていきたいと述べた。ジェイソンさんも去年の4月の逃亡犯条例改正案問題を機に、香港で公平な生活は難しいと考え、日本での就職を目指している。日本人として香港で実際に今何が起きているのか、香港市民の声を真摯に受け止めることが重要ではないだろうか。

トップ写真)香港のデモ

出典)Photo by Studio Incendo

 

Japan In-depthチャンネル

ROSE EYE 動画はこちら

 


copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."