[宮家邦彦]<世界各地で選挙>ウクライナ大統領の有力候補は「チョコレート王」と異名の大富豪[外交・安保カレンダー(2014年5月19-25日)]
宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)
今週末にはウクライナを筆頭に世界各地で多くの大統領選・議会選がある。ウクライナの場合、現在支持率トップはペトロ・ポロシェンコ。大富豪政治家である同人は菓子帝国を築き「チョコレート王」とも呼ばれる男だが、彼で本当に大丈夫なのか?
続く支持率第2位はユリア・ティモシェンコ元首相だそうだが、ポロシェンコが有効得票の過半数を得れば決選投票は不要となる。現時点で予断は許さないが、ウクライナ問題の本質はこれらの人々に真の「統治能力」があるか否かに尽きるだろう。
親露派の分離主義者がトンデモナイ連中であろうことは想像に難くない。だが、それではキエフの親欧州連合(EU)派の連中なら大丈夫なのかというと、これもまた大いに疑問だ。そもそもこの選挙、ウクライナ全土で実施できるのだろうか。
いずれにせよ、次期大統領はウクライナ内政の不正・腐敗や政治的混乱を正常化できるのか、これが大きなポイントだ。万一不可能となれば、ウクライナはEUに見捨てられるだけでなく、ロシアの新たな介入をも許す事態にもなりかねない。
5月20-21日にプーチン大統領は訪中し、上海で予定される第4回「アジア信頼醸成措置に関する会合(CICA)」に参加する。同会議にはアフガニスタン、アゼルバイジャン、バハレーン、カンボジア、エジプト、インド、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、カザフ、トルクメン、キルギス、タジク、ウズベク、モンゴル、パキスタン、パレスチナ、韓国、タイ、トルコ、アラブ首長国連邦、ベトナムの代表が参加するらしい。それにしても、見事に日米などが除かれているが、その理由は不明だ。考え過ぎだろうか。
また、中露は5月20日から26日まで東シナ海北部で合同海軍演習を行うという。両国はこの地域で本当に戦略的利益を共有しているのだろうか、疑問は尽きない。更に、今週は韓国の国家安全保障担当大統領補佐官が訪中するとも伝えられる。関連情報をフォローしなければならない。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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