[佐々木瞳]<参加条件はボランティア?>アメリカ発のRockcorps(ロックコープス)がアジアで初開催
佐々木瞳(元ラジオ福島・アナウンサー)
むせかえるような暑い夏が続いている。そんな暑さを吹き飛ばすような音楽フェスやお祭りが様々な地域で行われているが、被災地では、ボランティアと音楽を組み合わせた新しいイベントが開催されている。
それが「Rockcorps(ロックコープス)」というアメリカ発のイベントである。このイベントの特徴は、「4時間以上のボランティアで働いた人全員」にRockcorpsが主催する“特別なコンサートチケット”が与えられることだ。
今まで、アメリカやイギリス、フランスなど、世界9か国27都市で行われ、14万人以上が参加した。そして、これまで出演してきたアーティストは、レディー・ガガやリアーナ、スヌープ・ドッグ、マルーン5、デビッド・ゲッタなど世界的に人気のアーティストたちであり、大きな盛り上がりをみせてきた。
今回Rockcorpsは、アジアでは初の開催となる。東日本大震災の復興ボランティアとして、福島県を中心に、宮城県、岩手県、茨城県、東京都などで行われている。
そこで私は、宮城県東松島市で綿花畑の農作業をお手伝いするボランティアに参加した。当日は、宮城県や神奈川県などから8人の方々が参加していた。作業が行われたビニールハウスは、震災の時、津波の塩害にあった場所だったが、周りにもう瓦礫などはなく、新しい建物の工事が行われているなど、復旧が進んでいるように見えた。
そのような中で始まったボランティアでは、私たちは配られたケースに土を入れ、そこに綿花の種を埋めていく作業を手分けしながら行った。作業は、農家の方の指導を受け、手分けしながら行われ、私たちは声を掛け合いもくもくと、時には談笑しながら取り組んでいった。
作業が終わったあと、農家の方は、「ぜひ育った綿花も見に来てほしい」と話していた。今回のボランティアをきっかけに、再び、東北に足を運んできてほしいという想いを感じた。参加者は「現状を知ることが出来て良かった。」「綿花が今後、どんなふうに成長していくかを見ていきたい。」と語った。
Rockcorps 福島事務局長の 押田一秀さんは、「きっかけが、ボランティアでもチケット目的でもいい。Rockcorpsを通じて、東北に目を向ける人が増えて欲しい。震災から3年がたち、交流人口が減っている東北に、人を呼び込むムーブメントを作ることができると思っている。」とRockcorpsの可能性を語った。
また、今回の日本開催にあたり、Rockcorpsを主催する ソーシャルプロダクションカンパニー「Rockcorps」創設者・最高経営責任者の Stephen Greene(スティーブン・グリーン)氏は、「Rockcorpsという新しいボランティアを通して、被災地の為に同じ目的で動く特別な繋がりを感じて欲しい。そして、コンサートでもアーティストとの繋がりを感じて欲しい。きっと、沢山の人たちの想いが1つになる未来に向けての、素晴らしいコンサートになるでしょう。」と熱い想いを語ってくれた。
ボランティアイベントは、今後、9月6日の福島県福島市のあづま総合体育館で開かれるセレブレーションコンサートまで複数行われる。今回のコンサートに出演するアーティストは、グラミー賞を受賞したニーヨやコブクロ、MayJ、flum poolの4組であり、豪華な顔ぶれとなった。
今まで被災地に足を運びたくてもなかなか踏み出せなかった方、コンサートに興味があるという方、夏の思い出が欲しいという方。きっかけは何だっていい。ただ、東北の未来に繋がるかもしれない“一歩”を踏み出す勇気を持ってもらいたい。
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