[一色ふみ] 【スポーツの後のビールはNG】
一色ふみ(食育インストラクター/ジュニア・アスリートフードマイスター)
スポーツを楽しむ上で水分補給は大切です。特にマラソン競技などの持久系スポーツは発汗も多く脱水や熱中症の危険を伴うので、レース中 ・前後の水分補給も含め、普段から十分な水分が体に蓄えられた状態を作っておく必要があります。その方法がウォーターローディングです。
●方法●
1日に 1.5~ 2リットルの水を目標に摂ります。一気にたくさん飲むのではなく一回に飲む量はコップ1杯程度。それを1日のうちに何度にも分けてこまめに摂ることで体内に水分が十分に満たされた状態が維持されるようになります。(飲み過ぎは逆に低ナトリウム血症を引き起こしてしまうので、上限は1日2リットルまでに。)汗などで流れ出てしまうミネラル成分の入った「硬水」を飲むとなお良いです。
もしマラソンレースに出るのであれば、レースの1週間くらい前から始めるとよいでしょう。レース当日の朝はいつも通りにしっかり水分を摂り、レース中の水分補給は喉が渇いていなくてもこまめに摂るようにしましょう。水分が体に浸透するには時間がかかるので、喉の渇きを感じた時点で脱水は始まっており、それから飲むのでは遅いです。レース後は失われた水分を補うために、早めに水やスポーツドリンクなどで水分補給をしましょう。
●スポーツ後の水分をジュースで摂るのはOK?●
甘い炭酸飲料などのジュースには、実は思った以上に多量の糖分が含まれています。例えば500mlのペットボトルのコーラ一本には、角砂糖がなんと約15個分も含まれているのです。スポーツ後の糖分摂取は必要ですが、これでは水分補給どころか糖分過多となってしまいます。
喉 が 渇 い て い る と き に 甘 い 飲 料 を 一 気 に 摂 取 す る と 血 糖 値 が 急 上 昇し、さらに喉は渇いてきます。スポーツドリンクですらも500mlペットボトル中に角砂糖10個分ほど入っているので飲み過ぎには注意し、軽い運動のときであれば糖分塩分の損失は少ないので水かお茶で水分補給をするようにしましょう。
●スポーツ後のアルコールは?●
スポーツをした後のビールは美味しいですよね。マラソンレースなどでもゴール後のビールを楽しみにしている方は多いと思いますが、あまりおすすめできません。ビールには利尿作用があり、かえって水分回復の妨げをしてしまうので、体が脱水しかけているスポーツ後にアルコールを飲むのは逆効果となります。
また、スポーツ後は胃腸が弱っているので、そこにアルコールを注ぐとさらに刺激してしまいます。それでもどうしてもビールが飲みたいという方は、水と交互に飲むようにして体に水分を補給しながらほどほどにアルコールを楽しむようにしてください。
人間の体の 60%は水分です。この水分バランスが体中の細胞活動の潤滑を保ち生命を支えています。スポーツを楽しむときに限らず、水分補給は大事に考えましょう。
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