[一色ふみ]<マッチョになりたい人に警告>たんぱく質の摂取タイミングと量が大事
一色ふみ(食育インストラクター/ジュニア・アスリートフードマイスター)
筋肉をつけるにはどうすればいいでしょうか?
筋肉の材料がたんぱく質であることはご存知の方も多いでしょう。スポーツジムなどでもパウダー状のプロテインが売っているのをよく見かけると思いますが、筋肉をつけたい人が毎日ささみを食べたりプロテインを飲んだりするイメージが一人歩きしてしまい、間違った知識が広まっています。
筋肉を増やすためにたんぱく質が必要なのは間違いありません。問題はその摂り方です。
そもそも人間が一日に必要なたんぱく質は、体重1kgあたり1gと言われています。つまり体重70kgの人が1日に必要なたんぱく質量は70g(運動量の多いプロアスリートだとその倍)となります。たんぱく質70gというと、牛の赤身肉で言えば300~400g程度、普通サイズのステーキ1.5~2枚分です。そう聞くと多いような気がしますが、この量は1日3食普通に食事をしていれば十分に摂れている量なのです。
それを踏まえて、筋肉を増やす“正しいたんぱく質の摂り方”をご紹介しましょう。
- タイミング!運動後30分以内が最も筋肉合成の活発なタイミング。この時間帯に食事(タンパク質)を摂りましょう。運動直後に食事をするのが難しい人に便利なのがプロテイン。例えばジムで運動した後30分以内の食事は、ジム内にレストランがない限り難しいですよね。そういうときにプロテインを活用しましょう。
- 摂れば摂るほどいいわけではない!上述したように、一日に必要なタンパク質量は体重70kgの人で70g。それが筋肉を合成できる摂取タンパク質量の『上限』です。それ以上摂っても筋肉にはならず、ただの中性脂肪となってしまうのです。これは意外と知られてないのではないでしょうか。 また、たんぱく質を分解する時に腎臓や肝臓に負担をかけてしまうため、たんぱく質摂取過多は内臓を弱らせてしまいます。
3度の食事で一日の必要タンパク質量を摂れているのに、筋肉をつけたいがために、プロテインや鶏肉などを過剰に摂取してしまうことは、脂肪を増やし、内臓を弱らせることになってしまいます。こういった知識を持たないスポーツコーチも現場では多く、プロテインをむやみに選手に飲ませる指導をし、体を壊す選手がたくさんいるのも事実です。
プロテイン剤はあくまで補助食品。運動後のたんぱく質摂取が難しい場合には活用し、その分、その日の食事からたんぱく質食品を減らして総摂取量を調整します。
たんぱく質だけひたすら摂っても筋肉はつきません。しっかり運動をし、運動直後に良質なたんぱく質を摂り、合成を促すビタミンもしっかり含む、バランスの良い食事を摂ることが上手に筋肉を増やす方法です。
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【プロフィール・一色ふみ】
皮革メーカーの職人としてデザイン製作の仕事を経て、2009年に青年海外協力隊に参加。エチオピアで皮革の指導をし、二年間の活動後に帰国。
帰国後は皮革業界から離れ、食育インストラクターとジュニア・アスリートフードマイスターの資格を取得。 現在はトレイルランナーの夫をサポートしつつ、アスリートフードマイスター資格取得講座のアテンドスタッフをしている。