[角谷浩一]ポスト安倍もままならない政界の現状〜人材育成が急務
角谷浩一(政治ジャーナリスト・映画評論家)
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自民党中堅幹部が言う。
「今の自民党はねじれも解消して、三年後のダブル選挙に向けて、順調に進んでいるように見えるだろう。首相・安倍晋三も昨年暮れの組閣した内閣をそのまま継承し、副大臣と政務官だけ変えた。世の中は不退転の決意で臨む最強内閣としているが、ふたを開ければ人材不足から改造できなかったというのが本当のところだ」。
人材不足で改造がままならなかったとは驚くが、自民党の分裂、保守系野党の台頭、自民党の野党転落、世代交代などで自民党も若手が増え、当選、5回、6回当たりの生きのいいのが閣僚候補として減っているというのが正しいところだろう。
派閥を見ても党内最大派閥・町村派にはポスト安倍を睨む総裁候補すら見当たらない。額賀派も派閥の領袖、国家安全保障に関する特別委員長・額賀福四郎の後釜は順当ならば経産相・茂木敏光だが、どうやら故小渕恵三元首相の娘、小渕優子でまとまりそうだ。
こう聞かされると、ポスト安倍もままならないということがわかる。
自民党閣僚経験者が言う。
「いわゆる党人派が減った。二世議員や官僚上がりではなく、議員として地方議員から国政に上がってきた『叩き上げ』議員が少ないことが原因だろう。ただ、これは自民党だけの問題ではない。民主党を見回しても党代表候補も幹部候補も頼りなさが先に立つ。政治家はだれでもなれると広がりを見せたが、政治のプロが減ったのは政治が停滞する理由。足して二で割る政治が好まれるようでは失われた時間は取り戻せない」。
政界の人材育成は急務だ。
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