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.社会  投稿日:2015/1/1

[是枝久美子]【映画:ST赤と白の捜査ファイル】~早すぎるドラマ劇場映画化の試算と思惑~


トップ写真: (C)2015映画「ST赤と白の捜査ファイル」製作委員会

        是枝久美子(映画評論家)

是枝久美子「是枝久美子のレコメン堂」

執筆記事プロフィール

~Story~

護送車が追突され囚人の脱走事件が起こる。犯人(ユースケ・サンタマリア)は焼死体で発見されたが、犯人の殺害容疑で逮捕されたのは警視庁科学捜査班(通称:ST)の赤城左門(藤原竜也)だった。リーダーの赤城が逮捕者となったSTは取り潰され、罪を認めた赤城は留置所を脱走。百合根警部(岡田将生)は脱走犯の赤城と共に真犯人の行方を追う……。

 

ドラマの映画化に際してプロデューサーをもっとも苦悩させるのが、キャストの再結集。放映から時が経過し、俳優の容貌の変化という残酷な現実に立ち向かわなくてはならないプロデューサーもいれば、端役だった俳優がビッグネームに大化けし、同じ設定で遇すると不自然に見えてしまうなど、彼らが抱える問題はさまざま。そもそも、ヒットドラマとはいえ、世間が忘れずにいてくれるとは限らない。

昨年夏、日テレで放映されていた警察ドラマの映画が、もう、正月には劇場公開される。テレビ放映は7月から9月。本作品の撮影時期は、2014年8月6日から9月14日とあるから、ドラマの制作時期と丸々カブッていることになる。

当然、映画とドラマの予算は別立てなのだろうが、ドラマ版の出演者全員・スタッフ・スタジオ・ロケ地・カメラ・照明・録音などの機材に至るまで、東宝サイドが引き継ぐだけなので、経費の削減ができて合理的だし、出演者たちはドラマと同じ美しい容姿のまま、それぞれの役をスクリーン上で演じることができる。

その上、映画版はグリーンバックによるワイヤーアクションシーンが盛り込まれ、ストーリー展開も華やかで、映画らしいスケール感満載の仕上がりになっていた。

オイシイこと尽くしのような映画化企画だが、一番のネックは、やはりテレビコンテンツを、映画館で待っていてくれるファンがどれほどいるかという点。これはどんな作品でも常に未知数だ。映画の“観客”に較べ、テレビの“視聴者”のフトコロはいつもシビアなものだが、贅沢な演出はやはり劇場映画ならではのもの。筆者も陰ながら大入り叶。お楽しみに。

公開:2015年1月10日 配給:東宝 全国東宝系にてロードショー

公式サイト http://www.st-movie.com/

2015年/日本/110分/ビスタビジョン

 

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