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.政治  投稿日:2020/9/14

「理知的な人」石破茂 自民党総裁選その5


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・石破氏、民間企業から政治家へ。多趣味でメディア出演も積極的。

・知的レベルも高く、言葉のセンスにあふれている。

・情熱を形にしていくリーダーシップをとることを課題としている。

 

第5回は石破茂さん。メディアでよく取り上げられることが多いが、その「人間力」を見ていきたい。

国民に人気の政治家であるキャリアを見てみよう。

 

■ 石破さんのキャリア

1957年2月4日生まれ。63歳。血液型はB型。父親は官僚であり、政治家の石破二朗さん。

▲写真 石破二朗氏 出典:Wikipedia パブリックドメイン

鳥取大学附属小学校では放送部で活動。卒業後、鳥取大学教育学部附属中学校に進学・卒業。中学校ではブラスバンド部と新聞部に所属していたそう。その後、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。三井銀行に就職。「東京都中央区にある本町支店に配属、日本橋の問屋街を自転車で廻り、中小企業の経営を肌で学んだ」そうだ。

数年の勤務を経て政治家に。自由民主党所属の衆議院議員(11期)。自民党から、宮沢喜一内閣への不信任案に賛成、小沢一郎氏と行動を共にする。新進党を経て、自民党に復帰した。

閣僚経験は、防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、内閣府特命担当大臣(国家戦略特別区域)、内閣府特命担当大臣(地方創生)。自由民主党政務調査会長、自由民主党幹事長など要職を歴任している。

趣味は多彩。「料理(カレーには自信あり)、読書(特に漱石、鴎外、井上靖、五木寛之、福井晴敏)、遠泳。好きな食べ物はカレー(大学時代は4年間カレーを食べつづけた)とコロッケ」、音楽は「クラシックから演歌までなんでも好きだが、特に70年代のアイドルもの(その中でも特にキャンディーズと南沙織)、ユーミンや伊勢正三などのニューミュージック系を好む」。マンガでは、「古くは「おそ松くん」「サブマリン707」、最近のものでは「加治隆介の議」「沈黙の艦隊」「サンクチュアリ」が大好き」とのこと(石破氏HPより)。

著書も多く、メディアでの討論やインタビューも積極的にこなす。筆者がかかわっているメディアにもずいぶんと出演してもらっている(だからといって好意を感じたりはしないが)。

▲写真 取材を受ける石破氏 出典:石破茂Facebook

■ 知的レベルと倫理観が高い

世の中的には、正論を言う人、話が長いなどの評判がある。しかし、個人的には、理知的で、論理的で、よく学んでいる、倫理観がある人という印象であった。喋りもうまく、そのゆっくりとした言葉である一方、原稿に目を落とすこともなく、自分の言葉で語る。真剣なまなざしが強烈であった。

特徴は3つ。第一に、知的レベルが高いこと。地方創生の担当時、地方自治体関係の専門家の筆者から見ても「めちゃ勉強しているな」と思った。細かいところは突っ込みたい、指摘したいことは度々あったが、おおむね全体の問題意識や事実認識は納得するものであった。

第二に、指摘の鋭さ。他人に意見をするにしても、まっとうな批判をしている。見て、聞いて、色々なことを考えて、自分と対話し、考え、意見を確立し、発信してきたことがうかがえる。キリスト教徒と聞いたが、倫理観や物事の基準を自分の中で持っていて、それに従って価値観や考え方を確立している。また、政治家としてどうあるべきかを考えているからこそ、言えるのだろうし、それに即して、安倍政権に対してものを申していた。政治家としてはどうあるべきかは、「共感と納得」という言葉に尽きる感じだ。

政治家としてどうあるべきか、どう行動すべきかの考えを持っていて、倫理観が高いように思える。だからこそ、世界でも好待遇の政治家さんたちから一部を除いて支持されないのかもしれない。他方、とても優秀な平将明さん、齋藤健さんといった骨のある議員が慕うのもわかる。

第三に、言葉のセンスである。「感じ悪いよね」など、国民の目線での言葉を繰り出せるセンスがある。学生時代から、弁論活動で優秀だったようだ。

言葉も奥深い、味わいのある言葉を出している。それは政策的な視点はもちろん、人間としての深みも感じられる言葉が多い。「名言」といってもよい。名言集というサイトがあるので、そこから少し紹介しよう。

「失敗しても取り返しがきく。やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい。そういう人がいないと、世の中は変わらない。今さえよければいいのではない」「勇気と真心を持って真実を語る。私はそれが政治家の役割だと思っている。そうでないと判ったならば、一日も早く政治家なんぞ辞めるべきだ。私はそう思ってやって参りました」といった信念は人の琴線に触れるし、国民の心をつかむわけだ。

ただし、「若手議員にはもっと勉強してもらいたい。上の顔色を見るだけでは、政治家として成長できないよ」という言葉はもっともだが、意識の低い人、政治家になって満足しているような人にとっては苦言にしかすぎない。ある意味、厳しい言葉でもある。

「自民党から闊達な議論がなくなったときに、私は国民の心が離れていくような気がする」など集権的・権威主義的な組織のなかでは、上の人間にとってめんどくさい存在に感じられてしまうこともあるのかもしれない。

 

■ 声診断で分析してみると分析力と発想

今回、人間力分析ではおなじみの日本声診断協会の中島由美子氏に依頼して、周波数で行う声診断をしてもらった。

「世の中の背景や時代の背景を客観的に見て、この先何が必要であるかを人があまり気づかない観点から物事を見たり、斬新なアイデア、発想を生み出すことも得意とされています」と石破さんの特徴をあげている。これまでの発言や石破ビジョンに明らかである。

また、「ひとの心をつかむ話し方も上手いということがこの波形から読み解くことができます」とのこと。人の心に訴え納得させることがわかる。

 

■ 情熱を・心に訴えるリーダーシップを

今後の課題としては「具体的に自らが率先して行動していくことだったり、この国に対する思いをときには論理でなく湧き上がる思いを形にしていくリーダーシップをとること」とのこと。ただし、感情的なリーダーは扇動的になるわけで、石破さん的にもその選択はとれないかもしれない。

とはいえ、石破さんというリーダーは必ず時代が必要とするときは来る。今回当選したら、どういったリーダーシップをとるのか、大変興味深い。今後に期待したい。

その6に続く。その1その2その3その4。全6回)

トップ写真:【出典】首相官邸にて、内閣府地方創生人材支援制度の発足メンバーでの撮影。左下が石破さん。左上が筆者。


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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