無料会員募集中
.国際  投稿日:2015/1/6

[宮家邦彦]【ギリシャ、又ユーロ離脱で国論二分】~イラク北部で新たな軍事的動きも~


宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2015年1月5日-11日

執筆記事プロフィールblogWeb

 

毎週一回、800字強という制限の中で、外交・安保問題で「世界一周」するのは結構骨が折れる。2015年からは、若干スタイルを変え、世界各地の動きをより包括的にフォローしていきたい。

〇欧州・ロシア

欧州の懸念はギリシャとロシアだ。ギリシャは2011年に大騒ぎしたのに、ユーロ離脱をめぐり再び国が割れている。1月25日に総選挙があるが、結果次第ではユーロ問題に止まらず、欧州での民族主義vs国際主義の微妙なバランスが変わるだろう。

一方、昨年12月の大統領演説に示された通り、ロシアは対欧米戦略を大幅に見直しつつあり、対決姿勢を強めている。但し、経済制裁とエネルギー価格急落もあり、ウクライナなどで強硬措置を取る気は当面なさそうだ。

〇アメリカ両大陸

米国の新議会が6日に召集される。上下両院を制した共和党はキューバ、移民、環境問題などでオバマ政権との対決姿勢を強めている。20日には一般教書演説があるが、それまでに行政・立法両府の関係が正常化する可能性は低そうだ。

〇東アジア・大洋州

まだ新年だからか、日本では大きな動きはない。日韓、日中関係とも今は仕込みの段階なのだろうが、いずれにせよ、政治面で大きな改善は期待できない。せめて経済実務面で進展が見られれば良いのだが・・・。

〇インド亜大陸

11-13日にインド・グジャラート州で開かれる経済会議に国連事務総長や米国務長官が出席する。当然だろう、モディ現首相はインド一の経済成長率を誇るグジャラート州の元首相だ。同会議国別イベントに参加する諸国は日本以外に英米豪、シンガポール、イスラエル等だが、そこに中国がいないのは興味深い。これがモディ流なのか。

〇中東・アフリカ

イラク北部で新たな動きが見られる。モスル南部でイラク正規軍が現地のスンニ派部族メンバーも加え新たに師団を編成しつつある。同師団とクルド自治政府との協力の可能性もあるらしい。これが順調に進めば「イスラム国」を放逐することも不可能ではなかろうが、それでも時期は一年以上先かもしれない。まあ、ないよりはマシだが・・・。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

 

【あわせて読みたい】

[大野元裕]【中東世界不安定化、新フェーズへ】~テロの輸出の可能性も~

[小泉悠] 【暴力が広く薄く拡散する時代】~「新しい戦争」の時代の到来~

[藤田正美]【独・新発国債ゼロ、ユーロ圏の矛盾】~どうする、圏内の富の再配分~

[藤田正美]【EU経済、再び景気後退へ?】~富の再分配必須、揃わぬ各国の足並み~

タグ宮家邦彦

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."