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政治  投稿日:2015/3/24

[文谷数重] 【辺野古基地建設が無理なわけ】~予想される首長の抵抗手段とは?~

揺れる基地問題。
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文谷数重(軍事専門誌ライター)

執筆記事プロフィール

調査工事の段階で揉めているのに、本工事は無理ではないか?

■首長権限での抵抗

沖縄県知事は、沖縄防衛局に対して工事中止の指示を出した。漁業調整規則による岩砕破砕許可での付帯条項によるものだ。つまりは、翁長知事は県知事の許認可権で辺野古移転に抵抗を始めたということだ。

県知事や市長が持つ行政上の権限は大きい。それを使えば、工事は相当に妨害できる。例えば、本工事での埋立免許の取り消しや、陸上部建設工事での計画通知への不許可、給水拒否といった手段はいくつも考えられる。

知事や市長による抵抗手段は他にもある。県警はあくまでも県の組織である。国家機関である警察庁の命令統制は受けるものの、県知事は予算面で県警を縛ることができる。

これは市長も同じである。市長は消防組織を指揮できる。つまりは、工事での燃料等危険物の保管・運搬・使用等にストップを掛けられる。名護市長も権限行使には躊躇しないとも述べている。

■本工事は可能か

この状況で、辺野古基地建設は現実的に可能だろうか?そもそも、辺野古基地建設は、まだ調査工事の段階にすぎない。防衛省直轄工事では、本工事の前に調査工事を行い、そのデータに基づき設計や積算、契約を行う。つまり、今の段階は準備段階にすぎない。

本工事となった場合には、抵抗は更に強くなる。埋立作業が強行される映像が流れれば、沖縄県民感情は相当に刺激される。沖縄県や名護市による合法的な作業中止指示が無視され、土砂で海が埋め立てられる情景は、県民にとって身体を損なわれる感覚を生じさせるだろう。日本国民が、北方領土や竹島でロシアや韓国に勝手なことをされる感覚と同じである。

そして、最後には、知事と市長には街頭にでる。万策尽きて、なお国が工事を強行すれば、二人の首長はそうするしかない。県民は知事や市長を見捨てない。知事や市長は新基地建設反対で当選している。県会や市会の構成や、国政選挙の結果を見ても、新基地建設への反対は根強い。その上で、県民感情は逆撫でされている。今のような100人規模の抗議ではなく、95年の総決起大会のように5万、10万は集まる。

その場合、現実的に工事を進捗できるだろうか?大人数による封鎖が与える影響は、短期的な工事現場の封鎖や妨害だけではなく、日米政府に政治的衝撃を与えるため、工事の無理押しはできなくなる。

技術的な話になるが、予算の問題もある。工事予算を執行ができなければ、予算そのものが消える。予算は最大2年しか伸ばせない。予算上の手法として明許繰越と事故繰越があるが、それぞれは1年ずつしか伸びない。工事が2年以上長引けば、工事予算そのものが消えてしまう。

つまり辺野古埋立・移転は、現実的にできない。政権は自信満々に押し切る構えを見せているが、押し切れる抵抗ではない。今後あるだろう状況や、その様態をみれば、まずは無理な話だということだ。

 

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